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「企業家」というコンセプト【経営のヒント 727】

偉大なイノベーションは、理論上の仮説を現実の事業に転換することによっても実現されてきた。
『経営の真髄』<上>p.208

前回、「事業のビジョン」というテーマでした。具体例として、IBMの基礎を築いた「データ処理」というビジョンを挙げました。

今回のイノベーションは、理論上の仮説を元にしています。ドラッカー教授が挙げた事例は、社会哲学者サン=シモンの「投資銀行」です。そしてさらに遡るとジャン=バティスト・セイの「企業家」というコンセプトです。

産業の担い手となる「企業家」。それに資金を供給する一方の担い手である「投資銀行」。両者の存在によって資本に方向づけを与え、国の産業化を促進さることができるという仮説が成り立ちます。これが、現在のベンチャー・キャピタルの原型です。

現在でも、たとえば「メタバース」や「ブロックチェーン」というコンセプトは、様々な事業に転換されようとしています。これらは偉大なイノベーションとして実現していく可能性を秘めています。

「企業家」という新しいコンセプトが、「銀行」という既存のコンセプトに出会い、「投資銀行」という事業が生まれたように、「ブロックチェーン」が、「資産」という既存のコンセプトに出会い「暗号資産」という事業が実現しました。

あなたならどんなコンセプトとコンセプトを結合しますか。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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