コミュニケーション【経営のヒント 304】
『マネジメント』<中巻>第38章「コミュニケーション」から、今日は原理その2をお伝えします。
<ドラッカーの一言>
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人は知覚の範囲を超えるものを知覚できない。
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『マネジメント<中>』p.142 1973年 ダイヤモンド社
前回の<コミュニケーションの原理その1>では、「コミュニケーションと情報は別物である」とし、コミュニケーションはパイプラインのようなもの、情報はその中を流れる内容物と説明させていただきました。今日は、そのパイプラインについてです。
コミュニケーションの第2の原理は、「コミュニケーションとは知覚である」です。
この原理を説明するために、ドラッカー教授が挙げる有名な次の問いがあります。「無人の山中で木が倒れたとき音はするか」。答えは「否」。
音波のみ響き渡り、音波を音として受信する人がそこに存在しないからです。
「聞く者がいなければ、コミュニケーションは成立しない」。いかがでしょうか。
この教えは深く、相手が知覚できる音波でなければ知覚できないということを、さらに学ばなければなりません。人間には超音波は聞き取ることができませんが、イルカやコウモリは受信しています。
ギリシャの哲学者プラトンの言葉を引用して、ドラッカー教授はこう述べました。
「人と話すときは相手が経験的に知っている言葉、つまり大工と話すときは大工の言葉を使え」と。
例えば大工の言葉、「墨つぼ」を多くの方が知覚(イメージ化)できないのは、「墨つぼ」を使ったことはもちろん、見たことも聞いたこともないからです。
「知覚は経験である」。人は使ったり、見たり、聞いたりなど経験したことのみイメージとして頭に再現することができます。ドラッカー教授は、ともに体験することが完璧なコミュニケーションだといいました。この場合、言葉は不要です。
コミュニケーションの不足が課題として挙げられています。「コミュニケーションとは知覚である」という原理を知っていれば、コミュニケーション不測の原因の一つに経験、共通の経験があると思います。人は、イメージできないことを行動に移すことが出来ないのです。
ナレッジプラザでは、読書会という場を通じて、経験化のお手伝いをしています。
ドラッカー教授の言葉(音波)を、真に意味のある受信可能な「音」にするための場を用意しています。いわば疑似体験の場。マネジメント能力が飛躍的に向上すること、請け負います。ぜひご参加下さい。
佐藤 等