一流のNPOは、ミッションすなわち目的の定義に力を注ぐ【経営のヒント 741】
企業がNPOから学ぶべきことの第一が、ミッションをもつことである。ミッションを持つことによって、はじめて行動に焦点を合わせることができる。
『経営の真髄』<上>p.249
ミッションの役割は目的性にあります。目的が決まらなければ方法や手段が決まらないのは、必然である。その結果、経営資源やエネルギーを集中するポイントが定まらない、つまり散漫になります。
真に有効なミッションを持てば、「組織とくに大組織が陥る進行性の病、すなわち、かぎられた資源を生産的な活動に集中せず、面白そうなことや儲かりそうなことに分散させる過ちを防ぐことができる」
ドラッカー教授は、「一流のNPOは、ミッションすなわち目的の定義に力を注ぐ」といいます。三流の企業は、ミッション(理念)を形式的に定め、面白そうなことや儲かりそうなことに資源を分散すると言えそうです。
NPOには無給のボランティアが存在します。目的なしに彼ら、彼女らが働くことはあり得ません。それゆえ目的の定義に力を注ぎます。企業には有給のスタッフしかいません。ミッションの定義に力を注がなければ、彼ら、彼女らは、ただただ給料をもらいに来ているだけの存在になります。業績は言わずもがなではないでしょうか。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)