仕事を組織化する【経営のヒント 744】
企業がNPOから学ぶべき第二のものが、取締役会のあり方である。
『経営の真髄』<上>p.253
企業がNPOから学ぶべきことの第一は、ミッションをもつことでした。ドラッカーは、企業の取締役会として機能する理事会からそのあり方を学ぶべきだといいます。
なぜなら、NPOの多くが、企業ではいまだ稀有というべきものをもっているからです。ドラッカーが注目したのは以下です。
(1) 理事会内の小委員会によってその仕事ぶりが評価されるCEO
(2) 事前に設定された基準に照らし、自らの仕事ぶりを評価する理事会
これらの結果、「理事会とCEOそれぞれの役割を明らかにすることは、CEOの責任であることを学ぶにいたっている」といいます。
ポイントは、理事会の役割について論じるのではなく、仕事を組織化することです。例えば、寄付金集めであれば、そのための仕事や作業を考え、仕事を設計することです。自らの仕事の基準があってはじめて、自己評価は可能です。
NPOの理事の多くは無償のボランティアです。それゆえミッションへの共感は欠かせません。何のためにやるのかを深く理解しなければ、どうやるのかを考えることはできません。いずれにしてもNPOから学ぶことは多いといえそうです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)