人はなぜ無給でも働きたいと思うのか?【経営のヒント 745】
ますます多くのNPOが、ボランティアは無給だからこそ、貢献し、仕事に満足してもらわなければならないとしている。
『経営の真髄』<上>p.256
ドラッカー教授は、「ボランティアの中核が、善意のアマチュアから無給の専門スタッフに移行したことは、NPO自身にとって大きな変化であるだけでなく、企業にとって大きな意味がある」といいます。
ボランティア文化があるアメリカと日本の事情は少し異なりますが、この言葉には一つの本質が含まれています。
人はなぜ無給でも働きたいと思うのか?
生計のために仕事に就くという動機とともに、社会貢献のために仕事に就くという動機があるということです。とりわけ知識労働者は自分の専門領域の経験を生かして社会貢献したいと願うものです。
それゆえNPOでは、「彼らを惹きつけとどまらせるには、彼らの能力や知識を活用しなければならない。意義ある成果をあげる機会を提供しなければならない」のです。
しかし、このことは一般の事業会社であっても同様です。給料さえ払っていればという時代ではありません。彼らを惹きつける要因は何か。ここに目を向けることが要求されている時代です。とりわけ人不足日本においては、この視点を欠くことは致命的です。
この点がNPOから学ぶべき最も重要な点だといえましょう。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)