仕事(work)と働くこと(working)は別物である【経営のヒント 754】
「仕事と働くことは別の世界に属する。仕事は人の外にある。仕事そのものの論理に従う。働くことは人の内にある。働くことそのものの力学に従う」
『経営の真髄』<上>p.315
仕事(work)と働くこと(working)は別物である。仕事は、顧客に製品やサービスを提供するために必要なものです。つまり顧客によって決まるものです。その意味で「仕事は人の外」にあります。
これに対して「働くこと」、つまり「仕事を行うこと」は、一人ひとりに属します。一人ひとりスピードやリズム、個性が異なります。その意味で「人の内」にあります。
このように仕事と働くことは、異なる性格をもっています。つまりマネジメントの仕方が異なります。ドラッカー教授は、「仕事を設計する」と表現したように、仕事は論理的に考える対象です。これに対して働くことは、「力学」に従うといいます。論理の対象ではなく、主観的だし、情緒的です。
大切なことは、第一に両者は別のマネジメントの原理に従うということです。第二に仕事のマネジメントという土台の上に働くことのマネジメント(人のマネジメント)を行うということです。簡単ですがとても重要なポイントです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)