自分で基準を決め、常にこの基準を高める【経営のヒント 760】
知識労働の生産性は、仕事の質を中心に据えなければならない。しかも最低を基準としてはならない。
『経営の真髄』<上>p.335
前回「⑤知識労働の生産性は量よりも質の問題であることを理解させることである」ことを示しました。
ドラッカー教授は、知識労働をナレッジワーク、これに対するコンセプトをマニュアルワーク(肉体労働)と呼び、区別しました。従来の単なるワークを区別する必要が生じたということです。
「肉体労働では、質は制約にすぎない。最低の基準というものがあるだけである」
肉体労働では、不良品や検品という言葉に象徴的に表れているように最低の基準に焦点が当てられています。最低の基準を満たしたものを数多くという思考です。
これに対して、知識労働の本質は質にあるとドラッカー教授はいいます。
最高ではないにしても、最適を基準としなければなりません。最低基準を満たしたプログラムを多数生み出すのではなく、最適な基準を満たした一つの優れがプログラムを生み出すという思考です。
指示命令、マニュアルどおりではなく、自分で基準を決め、常にこの基準を高めるという姿勢から優れた仕事は生まれるのです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)