ホーム経営のヒント自分で基準を決め、常にこの基準を高める【経営のヒント 760】

経営のヒント

HINT

経営のヒント

自分で基準を決め、常にこの基準を高める【経営のヒント 760】

知識労働の生産性は、仕事の質を中心に据えなければならない。しかも最低を基準としてはならない。
『経営の真髄』<上>p.335

前回「⑤知識労働の生産性は量よりも質の問題であることを理解させることである」ことを示しました。

ドラッカー教授は、知識労働をナレッジワーク、これに対するコンセプトをマニュアルワーク(肉体労働)と呼び、区別しました。従来の単なるワークを区別する必要が生じたということです。

「肉体労働では、質は制約にすぎない。最低の基準というものがあるだけである」

肉体労働では、不良品や検品という言葉に象徴的に表れているように最低の基準に焦点が当てられています。最低の基準を満たしたものを数多くという思考です。

これに対して、知識労働の本質は質にあるとドラッカー教授はいいます。

最高ではないにしても、最適を基準としなければなりません。最低基準を満たしたプログラムを多数生み出すのではなく、最適な基準を満たした一つの優れがプログラムを生み出すという思考です。

指示命令、マニュアルどおりではなく、自分で基準を決め、常にこの基準を高めるという姿勢から優れた仕事は生まれるのです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

関連記事