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生産性のマネジメント【経営のヒント 99】

『乱気流時代の経営』の第2章は、「生産性のマネジメント」です。
この章は、第1部「現在をマネジメントする」に属しており、その対象は、手元流動性、生産性、事業継続のコストの3つです。
今日は、生産性に関する一言です。

<ドラッカーの一言>
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生産性の向上は、イノベーション、すなわち古くなった
斜陽の領域から、新しい生産的な領域への資源の
移動によって実現される。あるいは、資源の生産性
そのものの絶えざる改善によって実現される。
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新訳『乱気流時代の経営』(ダイヤモンド社)より

「現在をマネジメントする」ために生産性が重要なのには、訳があります。
産業にマネジメントを導入した結果、19世紀末からの約100年間は、一本調子で生産性が向上しました。しかし1965年から1980年にかけて生産性の低下傾向がみられました(この本は1980年に書かれています)。
このことを背景に生産性が重要なマネジメントテーマとして掲げられました。
ここ十数年の日本の状況も生産性が低下していることから、大いに参考になります。
ここで「生産性」という言葉ですが、投入量(インプット)と産出量(アウトプット)の比率をいいます。投入量に対して産出量の割合が大きいほど生産性が高いことになります。
投入量は、経営資源の量で表現され、産出量は生産量、生産額、売上高、付加価値などがあります。通常、生産性というと、労働を投入量として測った生産性(労働者1人1時間あたりの生産性=「労働生産性」)を指すのが一般的です。
ドラッカーは、企業の生産性の向上の秘訣は、「イノベーション」と「改善」の二つしかないと断言しています。そのための視点は、インプット要素である経営資源の生産性の向上です。ドラッカーがあげる経営資源は、資金、物的資源、時間、知識の4つです。とりわけ知識が重要で、これを持つ人材をドラッカーは、「知識労働者(ナレッジワーカー)」と呼んでいます。
生産性を時間で測ることができない世界、それが知識をベースとした現代企業の実態です。
したがって成果をあげるには、組織の知識力を高め、活用することが重要です。
そのためには、組織に属する個々人を「動機づけ」ことが必要不可欠です。
知識労働者は、チームで活動することで時間では測りきれないパフォーマンスを発揮する可能性を秘めています。しかし一方で、所有している知識をどれくらい発揮するかは、個々人の意思に委ねられています。知識労働者を育てるのも経営者、知識労働者を活用するのも経営者、個人任せでは成果はでません。成果がでないとただ嘆く前に経営者は覚悟を決めて、「動機づけ」にチャレンジしなければなりません。
ある人が言いました「学習するか?それとも滅びるか?」。
現代企業の生産性は、組織がもつ知識という経営資源の活用のいかんにかかっているのです。
※知識労働者・・例えばデザイナーやレントゲン技師のような知識に軸足をおいた労働者。もちろん経営管理者も含む。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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