経済的次元の問題【経営のヒント 89】
第24章は、企業と働く人たちとの経済的関係を正面からとらえた核心にせまる章です(タイトル:「経済的次元の問題」)。
今日の一言は、深刻です。
なぜなら経営者が企業の目的を誤って理解していると、従業員と必ず対立するというコワイ一言だからです。
<ドラッカーの一言>
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従業員の目に、企業の目的が利益の追求であると見えるかぎり、
自らの利益と企業の利益の間に基本的な対立を確信せざるを得ない。
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新訳『現代の経営』(ダイヤモンド社)より
そんな馬鹿な・・・と思うかもしれませんが、ドラッカーには「確信」があります。企業の目的を利益の追求と考えるとどうなるか?「企業利益は多すぎるか」という、利益分配の多い少ないを問題とする不毛の問いが出てきます。利益に関しては、「利益は十分か」という建設的な問いが正しい問いの発し方です。つまり「企業の存続には」利益は十分か、ということです。あたりまえのことですが、企業が存続して初めて仕事が維持できます。またその仕事は、お客様に支えられていることも容易に理解できます。つまりは、真の企業の目的である「顧客の創造」に通じています。この点を私たちは何度も何度も確認しなければなりません(第70号参照)。
そしてついでに、「利益は存続の条件である」ということも合わせて確認したいものです。
今日の一言で注目すべきは、「・・見えるかぎり」という言葉です。ともするとそう見える、ということです。これは企業経営にとっては、危険なことです。
そのリスクは回避したい!どうすればいいのか、まず経営者が企業の目的を正確に理解すること、次にこれを経営理念なりに落とし込んで文章化すること、そして従業員に伝えることです。
実は、当たり前のことをチャンとやるだけなのですが・・・。
佐藤 等