自らをマネジメントする【経営のヒント 176】
結局『明日を支配するもの』の第6章「自らをマネジメントする」から8回も書かせていただきました。まずは、今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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一人ひとりの人間およびその家族にとっては、何かに貢献し、
意味のあることを行い、ひとかどとなることが、決定的に
重要な意味をもつ。
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『明日を支配するもの』(ダイヤモンド社)より
この著書の最後に、「第二の人生」という短い節があります。ここには、とんでもない、しかし現実を直視した言葉があります。
「知識社会では、成功が当然のこととされる、だが、全員が成功するなどということはありえない。ほとんどの人間にとっては、失敗しないことがせいぜいである。成功するものがいれば、失敗するものがいる」。
いかがでしょうか。少しドッキリします。
この節の「第二の人生」は、そんな人たちに特に向けられたメッセージです。
ドラッカー博士は、こういいます。「逆境のとき、単なる趣味を越えた第二の人生、第二の仕事が大きな意味をもつ」と。今の仕事で成功を実感できないとき人々を救うのが、やり直しという意味での「第二の人生」、パラレル・キャリアという意味での「第二の仕事」。
そして非営利の仕事にたずさわる「篤志家」。
ドラッカー博士は成功の機会として、これら三つの方法を提示しています。
チャンスは、多い方がいいというわけです。
第二の人生を志向するのは非成功者だけではないと思います。成功者の中にも「燃え尽き者」がいます。燃え尽きるとは、飽きると同義です。また組織の寿命は、30年ともいわれますが、一方で人間は40年、50年働くことができるようになっています。
つまり、組織における成功者でも、いつかはその組織の存在がなくなる可能性を常に秘めているという事実を受け入れなければなりません。仮に組織が存在しても、一般的に50年も働けば飽きてくることは避けられません。
これら三つの方法のいずれかを成功させるには、一つだけ条件があります。本格的に踏み切るはるか以前から、準備し、活動を続け、小さくとも何らかの成功を実感していることです。
そうすることで組織においてリーダー的な役割を果たし、敬意を払われるという自己実現の場を得ることができるのです。現代の組織社会における個人のマネジメントとは、組織への参加という観点からより長期的な視野でみて、はじめて可能なのだということをあらためて確認させられた一節でした。
佐藤 等