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知識労働者の生産性が社会を変える【経営のヒント 167】

今回は、『明日を支配するもの』の
第5章「知識労働者の生産性が社会を変える」からお伝えします。
まずは今日の一言からです。

<ドラッカーの一言>
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二〇世紀の偉業は、製造業における肉体労働の生産性を
五〇倍に上げたことである。続く二一世紀に期待される偉業は、
知識労働者の生産性を、同じように大幅に上げることである。
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『明日を支配するもの』(ダイヤモンド社)より

最初に質問です。
「肉体労働でより多く生産するにはどうすればいいのか。2つ挙げて下さい」
答え:(1)より激しく働く、(2)より長く働く。
誰もが考えつくことです。しかしそこには、スピードを上げる肉体的な限界や1日が24時間であるという制約があります。例えばスコップを使って土を掘るという肉体労働で普通の人の10倍の結果を残す人は、おそらくいません。これらの限界や制約を乗り越えて生産性を50倍にしたということは、肉体以外の要素が大きく影響していると考えざるを得ません。
それは、道具や技術の進歩です。人間の知恵は、道具や技術に適用されてきたわけです。極論すれば二〇世紀は、「どんな道具や設備をもっているか」が勝負を分ける時代だったのです。「設備や道具が企業の宝」だった訳です。

私たちは、「人は企業の宝」という言葉をよく耳にします。この言葉は、人材が勝負を分ける時代の到来を意味しています。この言葉こそが二一世紀を生き抜くキーワードなのです。先ほどのスコップでの作業と対照的に、例えばパソコンでデザインし、チラシを作るという仕事で10倍以上の評価差がつくことはざらにあります。このような働き方をしている人々を知識労働者といいます。先進国の大半は、すでに知識やスキルがものを言う時代に突入しています。二一世紀は、これらの人々の生産性をあげることにどう取り組むかが最大のポイントになります。真の意味で「人を宝にする」ためには、生産性を大幅に向上させることが必要なのです。

ところが具体的な方法を知る者は、あまり多くありません。そもそも自らが知識労働者だと認識している者が、きわめて少数です。まずは、自身が知識労働者だと知ることから全てはスタートします。
ドラッカー博士は、知識労働の生産性を向上させるための6つ条件を示しています。

(1) 仕事の目的を考える。
(2) 働く者自身が生産性向上の責任を負う。自らをマネジメントする。自律性をもつ。
(3) 継続してイノベーションを行う。
(4) 自ら継続して学び、人に教える。
(5) 知識労働者の生産性は、量よりも質の問題であることを理解する。
(6) 知識労働者は、組織にとってのコストではなく、資本財であることを理解する。
知識労働者自身が組織のために働くことを欲する。

これらの条件を追求することが、私たち二一世紀に生きる者の役割と責任です。
次回からは、日々の仕事の生産性を上げるため、これらの条件を一つずつ確認していきます。意識しだいで成果が数倍向上します。お楽しみに。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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