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意思決定【経営のヒント 298】

今日も、『マネジメント』<中巻>第37章「意思決定」からです。

<ドラッカーの一言>
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日本の歴史で際立った特徴となっているものが、
難局における一八〇度の方向転換の能力である。
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『マネジメント<中>』p.114 1973年 ダイヤモンド社

ドラッカー教授によれば日本では過去、180度の大どんでん返しを何度も成し遂げました。
①16世紀にキリスト教をスムーズに受け入れた
②そのわずか数年後にキリスト教の迫害に転じ、鎖国をなした
③1867年、明治維新を成し遂げた

上記は意思決定による転換を表現しています。敗戦後の日本の復興も180度の転換の世界的な事例ですが、何かの意思決定が決め手になったと言う訳ではありませんので除外されています。ドラッカー教授は、180度の大どんでん返しの原因を日本式の意思決定にあるとみています。

ドラッカー教授は、日本式の意思決定のプロセスのエッセンスを5つあげました。
①答えを出すことにではなく、問題を明らかにすることに置いている
②コンセンサスを得るまで、あらゆる見方とアプローチを検討の対象としている
③当然の解決方法より複数の代替案を問題にする
④いかなる地位の誰が決定すべきか問題にする
⑤決定のプロセスの中に実施の方法を組み込み、関係者への売込みを不要にする

この方式のメリットは決定後の行動の確実性が上がり、即時行動に移すことです。
デメリットは、決定までに時間がかかるということです。今回の大震災に関連して行政府の対応の遅さが問題になっています。とりわけ海外からの批判は、多いように感じます。もしかしたら、日本特有の意思決定プロセスが影響しているのかもしれません。今回も決定後の行動が早いというメリットを享受することを期待しています。

いずれにしても日本の意思決定方式は、海外勢と異なり、その成果の大きさをドラッカー教授も大いに評価しています。海外からの声を冷静に受け止めて、その点は再認識しておいたほうがよさそうです。私たちは、今また180度の方向転換ともいうべき局面に立っています。批判よりも成果をあげることが求められています。
誰かが…ではなく一人ひとりが大いなる成果をあげる番です。
いよいよ「あなた」の出番です。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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