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人生を変えた七つの経験【経営のヒント 206】

今日は、ドラッカー博士の「人生を変えた七つの経験」の最後一つをお伝えします。
今日の一言です。私の座右の銘「、何によって憶えられたいか」の登場です。

<ドラッカーの一言>
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本当に知られるに値することは、
人を素晴らしい人に変えることである。
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『プロフェッショナルの条件』2000年 ダイヤモンド社より

ドラッカー博士の「人生を変えた七つの経験」の最後を飾るものです。
ドラッカー博士四〇歳の深い学びです。
時は一九五〇年の一月三日、場所はニューヨーク。
父アドルフに連れられ病床の大経済学者ジョゼフ・A・シュンペーターを訪ねます。
そのときのアドルフとシュンペーターとのやり取りを『プロフェッショナルの条件』からお伝えします。ちなみにシュンペーターは、この会話の五日後に亡くなります。

アドルフ: 「自分が何によって憶えられたいか、今でも考えることはあるかね」
シュンペーター: 「その問いは今でも、私にとって大切だ」
シュンペーター: 「でも、むかしとは考えが変った」
シュンペーター: 「今は一人でも多くの優秀な学生を一流の経済学者に育てた教師として憶えられたいと思っている」

怪訝な顔をするアドルフを尻目にこう続けました。

シュンペーター: 「人を変えることができなかったら、何も変えたことにはならないから」

ちなみに三〇歳そこそこのシュンペーターの「むかしの考え」は、「ヨーロッパ一の美人を愛人に持つヨーロッパ一の馬術家として、そして世界一の経済学者として憶えられたい」でした。
傍らで見ていたドラッカー教授は、学びます。
憶えられたいことは、年齢を経るとともに変っていかなければならないことを。
そうして真に憶えるに値するには、人を素晴らしい人に変えることであることを学ぶのです。
若き日のシュンペーターの答えをもう一度反芻してみて下さい。
愛人はともかく、プロフェッショナルの心構えとしては最高のものです。
しかしよく考えてみると、どちらも「なりたい自分」の表現だということがわかります。
つまり自分中心の思考であることがわかります。
「憶えられる」ということは、相手に憶えられるということで本来、他人中心の思考のはずです。
もう一段高いレベル到達するには、人を変えるということが重要です。
「あの人のお陰で…」、「あの人がいたから…」といわれてはじめて、人は他人に憶えられるのです。
素晴らしいプロの技もいつかは誰かに越されます。
一番、一流を目指すプロの志はもちろんとても素晴らしいことです。
しかしそこで終わることなく、次なるステップに向かうことが期待されます。それは人を育てること。
記録ではなく人々の記憶の中にあってはじめて真のプロフェッショナルといえるのです。
そのような分野を持つこと、一心に自己鍛錬すること、そして人を変えるためにこれを使うこと、そんな自分の高め方があるということを心に留めたいものです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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