マネジメント・ブームの教訓【経営のヒント 230】
『マネジメント―課題、責任、実践―』、第2章は「マネジメント・ブームの教訓」です。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
マネジメントの体系を理解しているならば、マネジメントの
スキルに優れていなくとも、マネジメントとして、
しかも一流の成果をあげることができる。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『マネジメント』p.15 1973年 ダイヤモンド社より
マネジメントには体系があり、スキルもある。
ドラッカー博士が明示したスキルとは、コミュ二ケーション、不確実性下における意思決定、戦略の三つです。加えてこれらのスキル、ツール、手法を究めることで満足してはならないと警鐘を鳴らしています。
単なる専門領域のスペシャリストに留まるなと。
マネジメントは、科学ではなく実践であるといいます。
上記の三つのスキルは実践に不可欠ですが、マネジメントそのものではありません。
医者が医療知識だけあっても成果をあげることができないのと同じです。
仕事であり実務です。診断ですらありません。
病名がわかっても治癒、改善できなければ医者の価値はありません。
患者とのコミュ二ケーションは欠かせません。
様々な状況から病名を診断という名で意思決定することもあります。
治癒のための方法という戦略すら立案します。しかしそれで終わりではありません。
患者を動かし、スタッフを動かし、治癒・改善という成果を目指さなければなりません。
それがマネジメントです。
その意味でマネジメントは成果に対する責任を基礎としています。
成果は行動・実践の先にあります。失敗やリスクを伴う実践の先にあります。
成功確率を上げるために学ぶものがマネジメントです。
さらにマネジメントは、実践により鍛え上げなければなりません。
ドラッカー博士が世に残したマネジメントは、実践の集積知です。
実践をコンセプト化し、体系化したもので、机上で生み出した空論は一つもありません。
観察し、考察し、行動したものばかりです。
ドラッカー博士が残したマネジメントは、コンセプト化、つまり概念化されているので濃縮ジュースのような状態になっています。そのままでは飲みにくいものです。
それぞれの現場、それぞれの状況に応じて水で割って還元して飲まなければなりません。
それがマネジメントを身につけるということです。
その成功と失敗の繰り返しがマネジメント力を鍛えるという意味です。
61種類(章)のメニューが用意されています。どれを選ぶかを決めるだけです。
こうして実践で一つひとつ鍛え上げていくべきもの、それがマネジメントなのです。
佐藤 等