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目標|マークス&スペンサー物語【経営のヒント 251】

今年最後の【経営のヒント】は、『マネジメント』第8章「目標|マークス&スペンサー物語」からお伝えします。今日の一言です。

<ドラッカーの一言>
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事業の定義、そして事業の目的とミッションについて
の定義は、目標として具体化しなければならない。
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『マネジメント』p.128 1973年 ダイヤモンド社より

マークス&スペンサーは、当時シアーズと比肩しうる多店舗展開している小売業者でした。マークス&スペンサーもシアーズ同様、「われわれの事業は何か」を徹底して問いました。そして自らを「社会革命の担い手」と定義し、当時扱っていた商品を雑貨からアパレルに絞り込みました。
アパレルで社会変革を起こそうというわけです。

同社はそこにビジネスの機会を見出したのです。すなわち第一次世界大戦後のファッションを意識する雰囲気の広まりにより需要が見込めたこと、軍服生産の経験から安くていいものを供給できる体制があったことなどを機会ととらえたのです。足りないのは、大量流通の仕組みだけでした。

マークス&スペンサーが秀逸なのは、事業を定義する力ももちろんなのですが、目標設定力にあるとドラッカー博士はいいます。事業の定義や目的、ミッションなどがあっても、それだけではよき意図の表明に過ぎないといいます。
実際の行動に移せないというのです。

マークス&スペンサーは、さらに先へと歩を進めました。目標として具体化したのです。目標は行動のための旗印です。到達までの期日や担当者が決まれば、使える資源がはじめてわかります。時には、不足しているかもしれません。そのときはまず目標を修正するのではなく、不足する資源の調達方法に工夫を凝らします。これらの手順を踏んで目標、つまり「いつまでに、誰が、何を、どれくらいの労力を使って」が決まります。

目標は、複数なければならないとドラッカー博士はいいます。一つだけの目標は、バランスを欠くと。ドラッカー博士が挙げた目標は次の8つです。
(1)マーケティングの目標
(2)イノベーションの目標
(3)人的資源の目標
(4)資金の目標
(5)物的資源の目標
(6)生産性の目標
(7)社会的責任の目標
(8)必要条件としての利益の目標

マークス&スペンサーはマーケティングやイノベーションの目標に優れた成果を出しました。第二次世界大戦後は食料品を事業の柱に加えました。
食生活の変化を見て取ってのイノベーションの実行でした。目標といえば、売上と利益としがちですが、成果を出している企業、継続している企業は、その他の目標にも目配せしていることがわかります。一つずつ加えていって、最終的には8つの指標を計器に安定飛行を目指したいものです。

本年もお世話になりありがとうございました。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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