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マネジメントの社会的責任の限界【経営のヒント 773】

マネジメントは召使である。ご主人は、彼がマネジメントする組織である。
『経営の真髄』<上>p.362

今日のテーマは、マネジメントの社会的責任の限界についてです。

第一に、本業の遂行、継続こそが最大の社会に対する責任です。そもそも社会に必要な製品やサービスを提供し続けることは、本質的な責任です。これに優先するものは、他にありません。

一方で「企業が健康であるためには、健全な、少なくとも『機能する社会』が必要である」とし、社会的な責任を果たすことが求められています。

「事業上の機会に転換できる問題」(前々回記述)を自社の能力をもって解決することを考えることは、継続して社会に存在し続けるための基本姿勢として重要です。社会という人間の環境を改善し、社会の質を高めるからです。

これに対して「自らに能力のない仕事を引き受けることは無責任である」と断じます。これは、前回指摘した「事業上の機会に転換できない問題」です。社会的な責任を果たすうえで必要な能力が、わが社にはない、すなわち事業機会に転換できないということです。

ここに社会的責任の限界があります。それゆえ「マネジメントたる者は、少なくとも、自らと自らの組織にとって欠けている能力が何であるかを知っておく必要がある」といいます。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

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