ホーム経営のヒント社会的責任の限界【経営のヒント 274】

経営のヒント

HINT

経営のヒント

社会的責任の限界【経営のヒント 274】

お盆休み後、今日から始動。さて今日は第26章「社会的責任の限界」からです。
今日の一言です。

<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
社会的責任の最大の限界は、マネジメントが
仕える組織の本業における成果に支障を
きたすことである。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆! ☆!☆!
『マネジメント』p.395 1973年 ダイヤモンド社より

マネジメントの役割は3つあります。憶えているでしょうか、第4章に次の記述があります。マネジメントの世界地図の鳥瞰図といった部分です。
是非記憶に留めましょう。

(1)自らの組織に特有の目的とミッションを果たす
(2)仕事を生産的なものとし、働く人たちに成果をあげさせる
(3)自らが社会に与えるインパクトを処理するとともに、社会的な貢献を行う

今日の一言にある「社会的責任の最大の限界」とは、この第三の役割を果たす際の限界を言っています。本業における成果を犠牲にしてはいけないというわけです。言葉を換えれば、(1)の役割を果たすのが優先だというわけです。

社会的責任を果たすにはコストがかかります。常にトレードオフを検討する必要があります。一つの目安は企業存続のコストである「利益を一定額以上確保しているか」です。
その基準は企業ごとに違いますが、その水準を超えてコストを負担し、社会的責任を果たし続けると限界を超えた行動だというわけです。

経済的な能力をわきまえずに、負担しきれない社会的責任を果たそうとしてはいけないのです。結局そもそもの社会的役割である(1)も負いきれない存在になってはいけません。分相応な対応が求められます。
公職の多い経営者も時間コストを気にしなければなりません…蛇足でした。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

関連記事