社会に与えるインパクトの処理と社会への貢献【経営のヒント 273】
今日も第25章「社会に与えるインパクトの処理と社会への貢献」からお届けします。
今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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変化をイノベーション、すなわち新しい事業に
転換することは、組織の機能である。
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『マネジメント』p.386 1973年 ダイヤモンド社より
社会的責任の第二の原則は、自分の組織が社会に与えているインパクト処理ではなく、事業と無関係に、あるいは希薄な関係性しかなく存在している社会の諸問題に関するものです。諸問題は、「機能不全」であるとドラッカー教授は表現しました。
機能不全の状態であれば、多くの人が解決すべき問題と考えているはずです。
…ということは、解決できればビック・チャンスです。社会の問題の解決を事業上の機会に転換することで、自ら利益を上げ続けるようにすることは企業家としての醍醐味です。
ドラッカー教授は、このことを社会的なイノベーションと呼びます。
『現代の経営』に出てくる3つの物語は、すべて社会的問題に取り組んだ結果の成功物語だとドラッカー教授が指摘しています。
「シアーズ物語」は、アメリカの人口の半分を占める農民の貧困、無知、孤立を解消しようとしたものでした。「フォード物語」は、労働争議の嵐が吹き荒れる中、労働者の賃金を3倍にしながらも労働者の流出を食い止め、車の販売一台あたりの利益を増大させました。「IBM物語」は、小企業でしたが大不況の中、従業員の雇用を保障しました。
このように社会の問題を内部に取り込み、大きな成功を収めた企業も多くあります。ドラッカー教授が「機会に転ずることによって解決可能な問題」として指摘したものがあります。このような記述は、珍しくおそらく成功確率は高いのでしょう。
その問題は、「中年知識労働者」の燃え尽き現象です。イノベーションの機会は、第二の人生の準備のお手伝いをすることです。このニーズは、本書執筆当時1973年より現在のほうが高まっていると思われます。誰もが手をつけていない領域だと思います。
実は私もこの問題について、1年間調査・研究をしました。実に奥深く、ビジネス機会の拡張性があることもわかりました。このように社会的問題は、意外と身近にあるものです。
あなたも社会的イノベーションの機会を考えてみませんか。