働く人と働くことのマネジメント【経営のヒント 266】
今日は、19章「働く人と働くことのマネジメント」からお伝えします。
前回までの仕事のマネジメントとはまったく違う考え方が背景にあることは、16章のメルマガでお伝えしたとおりです。
<ドラッカーの一言>
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マネジメントたる者は、働く者と働くことを価値ある
ものとすることを自らの仕事にしなければならない。
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『マネジメント』p.296 1973年 ダイヤモンド社より
「人はなぜ働くのか」、働く意味を問うという趣旨の書物がよく売れています。
その理由は、誰もが一度はぶつかる壁だからでしょう。とりわけ低成長で所得が増えない時代には、真剣に向き合わなければならない問いなのかもしれません。
かつて人類は、報酬というアメと飢えというムチにより労働に駆り立てられました。
そして先進国では、飢えというムチが姿を消しました。逆に高度成長期の所得の増加は、アメの機能を麻痺させました。報酬への期待は、青天井です。
その結果、動機づけ要因としての機能を失いました。
ドラッカー教授は、報酬の低さは不満を生む、しかしその高さにより動機づけられることはないと明言しました。それでは人は、何によって動機づけられるのでしょうか。
地位や帰属意識、承認感、自己実現など様々なものにより動機づけられるといわれますが、基本は仕事を価値あるものにすることです。
そのことを言い表したのが今日の一言です。誤解して欲しくないのは、何か価値のある特定の仕事が存在するという訳ではないということです。
それぞれの仕事を価値あるものとするという意味です。その原点は、一人ひとりの貢献を通じて組織の成果をあげることです。成果は、価値の唯一の証明手段です。
その価値とは、顧客がもたらすものであって、自分が決めることではありません。
成果が自信を生み、自信の積み重ねが一人ひとりの成長を促進させます。
その意味で成果は、成長や自己実現の原点ということができます。
<貢献→成果→自信→成長>のメカニズムを是非頭に刻み込みたいものです。
自己実現はそこから始まります。
佐藤 等