仕事を生産的なものにする【経営のヒント 265】
今日も前回に続き18章は「仕事を生産的なものにする」からです。
今日は、サブタイトル「管理手段とツール」の後半「ツール」についてです。
ドラッカー教授は、仕事が生産的であるためのプロセスとして4つをあげました。
(1) | 仕事に必要な作業、順序などを分析する |
(2) | (1)の作業を集めて仕事のプロセスとして編成する |
(3) | (2)のプロセスの中に、方向づけ、質と量、基準と例外などの管理のための手段を講じておく |
(4) | 最後にツールが用意する |
ということで今日の一言は、(4)「ツール」についてです。
<ドラッカーの一言>
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ツールは、仕事と働くことを橋渡しするものである
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『マネジメント』p.277 1973年 ダイヤモンド社より
ツールの目的をもう少し明確にしましょう。ツールは、仕事のため、仕事を生産的にするためのものです。と同時に働く人に成果をあげさせることが目的です。両方達成されてはじめてツールの意味があります。
チャールズ・チャップリンが映画「モダン・タイムス」(1936年)で巨大な歯車に巻き込まれる場面は、人が機械に組み込まれ、機械の一部になり、機械も人も本来の力を発揮できない状態を表現していました。
この象徴的な場面は、仕事のマネジメントと人のマネジメントを分けて考えることをしなかった結果です。
現にヘンリー・フォード(フォード自動社の創始者)の組み立てラインの欠陥をドラッカー教授は指摘しました。人は機械ではありません。人にはそれぞれのやり方、ペースがあります。機械というツールが人のために使われなかった端的な例です。ドラッカー教授は、機械が人に苦痛を与えるとき、それを「仕事の設計」の失敗と表現しました。取るべき行動は、設計のやり直しです。
ドラッカー教授が本書を書いた当時、機械化はオートメーションという方向に舵を切っていきました。現代社会は、情報化というIT技術が登場し、世の中を変えつつあります。この際にも視点は、同じです。そのツールは、仕事を生産的にしているか。そのツールは、働く者人に対して苦痛を与えていないか、有害となっていないか。
今一度、ツールを導入した結果の再点検をする必要がありそうです。
佐藤 等