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全員が、組織の壁を越えて【経営のヒント 776】

成果をあげるには、狭い領域への集中と明確な焦点が必要である。多目的であったのでは、組織は成果をあげられない。
『経営の真髄』<上>p.381

この150年間、世界は多元化の度合いを高めてきました。その理由は、自立し専門化された組織だけが成果をあげ生き残ってきたからです。つまり組織社会とは多元社会だということです。

多元とは行動基準が異なるということです。病院は病院を治療し、消防署は火事を防ぎ、消すことを、企業はそれぞれ独自の財サービスを供給します。もし病院は治療から疾病予防に目的を拡げれば間違いなく失敗に終わるでしょう。

それゆえどのような組織も目的・ミッションを実現するために資源を集中しなければなりません。しかし一方で社会全体としての公益を無視することはできません。社会全体のリーダーであることも求められています。もし、この両立ができないのであれば500年前の多元社会のように、崩壊せざるを得ません。

両立のためには、組織に働く者全員が、組織の壁を越えて社会全体に関わる責任を担うことです。「全員が、組織の壁を越えて」がポイントです。つまり、自らのミッションに専念しつつ、組織の壁を超えて行動することです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

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