管理手段【経営のヒント 315】
今日も『マネジメント』<中巻>第39章「管理手段」の続きです。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
マネジメント上、管理手段が有効であるには
七つの条件がある。(中略)
第四に、管理手段は事象の精度に即したもの
でなければならない。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『マネジメント<中>』p.169 1973年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授は、「事象の精度」という言葉を使いました。事象には事象固有の事象の真の姿を表す測定の精度があるということです。
まず私たちは、正確に測定できるほど優れているという幻想を捨てることです。さらに測定できるものがより優れているという幻想も捨てることです。
「正確な測定が困難であり、幅をもってしか評価できないような情報こそ重要である」との指摘こそ、数字を扱う立場にいる者にとっての金言です。私たちは、いかなるデータ・情報が事業の真の姿を表すかをじっくり考えなければなりません。
・一見根拠があるかのごとき詳細な数字よりも、概算のほうが正確たりうることを知る
・概算よりも数字の幅のほうが、さらに正確たりうることを知る
・さらに数字の幅よりも「より大きい」「より小さい」「より早い」「より遅い」「上へ」「下へ」なる表現が十分に定量的であり、より正確かつより厳密であることを知る
いずれもドラッカー教授の指摘です。単なる数字はそれ以上のことを伝えませんが、たとえば「昨年同月より大きい」は、比較対象をともない情報に一定の意味を付加します。また「人手が上向いている」は、方向性と動きを示しています。
前月より残業が減ったと言う情報は、十分定量的であり、単に残業時間の集計値を見ても改善しているのかどうかはわからないのです。
従来からその方法でデータをとり、情報として集計しているからと前例踏襲ではなく、一度足を止めてその「事象」は、どれくらいの精度で情報を収集することがより効果的かを考えることも重要なのです。
佐藤 等