管理手段【経営のヒント 314】
今日も『マネジメント』<中巻>第39章「管理手段」の続きです。
<ドラッカーの一言>
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マネジメント上、管理手段が有効であるには
七つの条件がある。(中略)
第三に、管理手段は対象とするものに適した
適切なものでなければならない。
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『マネジメント<中>』p.167 1973年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授は、管理手段の要件として最も重要であると指摘しました。適切性を満たすためには、データは事象の構造を教えてくれるものでなければなりません。ドラッカー教授が例示したもので説明しましょう。
報告事項:今月の在籍従業員1000名からの苦情件数 5件。
いかがでしょうか。表面的にはうなずけそうな報告です。しかし「構造的にはどうか。人を謝らせるものではないか」とドラッカー教授は聞き返します。
一般的な印象は、苦情があらゆる部門に同程度で分布しており、たいした問題ではないというものではないかと思います。
しかし現実は、工場の最終組み立て部門から4件、他の部門から1件が現実だったらいかがでしょうか。全員やめたり、ストライキが起こったりしたら製品の出荷がストップしてしまいます。事態は最悪です。
管理手段は、現実を正しく伝え、行動の基盤たりうるものでなければならないと警鐘を鳴らしています。多くの情報システム、特に会計システムが適切性に欠けると指摘します。
ドラッカー教授は、「データが事象の構造を反映していること」と、少々難しい表現をしますが、要は行動を誤らせるようなデータでは使い物にならないというのです。そればかりかガラクタを収集しているようなものだともいいます。
今一度、確認が必要な事項です。
佐藤 等