マネジメントの方法【経営のヒント 325】
引き続き、『マネジメント』からです。<中巻>=第Ⅱ部も後半戦です。
第Ⅱ部の全体テーマは「マネジメントの方法」です。このパートは、
マネジメントの仕事、マネジメントのスキル、マネジメントの組織の
3つで構成されています。今日から「マネジメントの組織」第41章に
入りますが、その前に扉書きが1ページあります。今日の言葉は、
その中からです。<ドラッカーの一言>
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組織について最初に考えるべきは構造ではない。
組織単位である。
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『マネジメント<中>』 p.194 1973年 ダイヤモンド社
その扉書きには、古くから研究されてきた「組織の構造」について
私たちがすでに知っていることが3点書いてあります。今日の一言に
あるのは、第一に…としてドラッカー教授が指摘したことです。
以下に3つをまとめて示します。
第一に、組織について最初に考えるべき構造ではない。
組織単位である。(中略)組織の構造は組織単位としての基幹活動を
中心に設計しなければならない。その基幹活動は、組織のミッションと
戦略によって決まる。
第二に、現業の仕事、イノベーションの仕事、トップマネジメントの仕事は、
それぞれ別個に組織しなければならない。
第三に、組織の構造は、仕事中心でありながら人中心でなければ
ならない。同時に、権限と責任のラインが並存していなければならない。
いくつかの重要なことが書かれています。第一に、<組織のミッション→
組織の戦略→基幹活動→組織単位→組織構造>という意思決定の
連鎖によって構成されています。「組織は戦略に従う」との有名な
原理は、このことを示しています。
第二に、その連鎖は、活動の連鎖、さらに細分化すると仕事と作業の
連鎖です。仕事と人は表裏一体です。それは権限と責任によって
裏打ちされたものです。仕事を生産的なものとし、人を生きいきと
動機づけるという本書『マネジメント』全体を包含するマネジメントの
三つの役割(第4章)の柱をなす部分です。
第三に、組織構造はこうした連鎖の束です。そうして、それぞれの
連鎖はさらに分類するとトップマネジメント活動の連鎖、イノベーション
活動の連鎖、日常業務の連鎖に分類されます。性質が異なるため
別の組織構造が必要です。それゆえトップマネジメント活動の連鎖は
このあと第50章で、イノベーション活動の連鎖は第61章で取り上げ
られます。
次回からの具体的な「マネジメントの組織」つまりマネジメントが
道具として用いる組織についての原理と方法を学んでいきたいと
思います。
佐藤 等