マネジメント・サイエンス【経営のヒント 322】
今日も『マネジメント』<中巻>第40章
「マネジメント・サイエンス」から。まだ続きます。示唆多き章です。
<ドラッカーの一言>
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企業活動からリスクをなくそうとすることは無益である。
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『マネジメント<中>』p.185 1973年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授は、企業とは未来に対し現在の資源を賭けて
いるようなものであるといいます。つまり企業活動そのものに
必然的にリスクが伴うと。
ところがマネジメント・サイエンスの一つの目標は、リスクの
低減あるいは消滅を掲げ、そもそも「リスクを冒し、リスクを
つくり出すことを非難する響きがある」と指摘しました。
そのことは、企業活動の非難そのものに通じます。
正しい目標設定は、正しい種類のリスクを冒せるように
することです。ドラッカー教授は、リスクには負うべきリスク、
負えるリスク、負えないリスク、負わないことによるリスクを
挙げました。これらを峻別するための方法としてマネジメント・
サイエンスはあるべきだということです。
ドラッカー教授の「経済的進歩とは、リスクを負う能力の
増大である」との定義は、企業経営に正しい指針を
もたらします。すなわち利益をあげ資本を蓄積することが
最大のリスクに向き合う姿勢だということです。リスクを負う
能力とは、過去の利益の蓄積である自己資本である余剰金に
他ならないのです。
リスクではなく機会に目を向けることが重要です。大いなる
機会は大いなるリスクとともにやってきます。そのとき機会に
挑戦できるか否かの第一関門は、余剰金の存在です。
リスクに向きあう正しい姿勢を身につけたいものです。
佐藤 等