マネジメント・サイエンス【経営のヒント 321】
今日も『マネジメント』<中巻>第40章
「マネジメント・サイエンス」からです。
<ドラッカーの一言>
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あらゆる企業が社会と経済の中に存在している
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『マネジメント<中>』p.183 1973年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授は、マネジメント・サイエンスがサイエンスたるためには
対象領域を定義し、包括的かつ一貫した公準が必要だと指摘しました。
難しそうに聞こえますが、要は企業とは何かを示すものです。その上に
サイエンスを構築してはじめて意味あるものとして機能するということ
です。それはサイエンス抜きでも企業とは何か、その本質を理解する
のに役立ちます。今日の一言は公準の第一に位置するものです。
①あらゆる企業が社会と経済の中に存在している
②企業は人が価値ありと認めるものを生み出す存在である
③企業は尺度としてお金を使う
④企業活動は現在の資源を不確かな未来に投入するものである
⑤企業の内外で、後戻りできない変化が起きている
これらはマネジメントの原理としても有効です。企業は社会の中に
一定の役割をもち、具体的には顧客の期待に応える存在です。
企業が生き残る正統性は世のため人のためだということです。
そして存続の条件としての利益があります。利益は成果の一尺度です。
企業が活動により得られる収入が活動のために資源として投入された
コストを上回った時に生じます。つまり企業活動は経営資源を未来に
賭け、それ以上のリターンを期待するものです。収入に対する一切の
保証はなく、収入がなければコストの塊があるだけです。
しかも対象とする企業は転生流転。外部環境により影響を受け
企業活動を変え、変えた企業活動から環境にさらに働きかけるという
社会との相互依存関係の下に成立しています。
5つの公準というドラッカー教授の指摘は、経営の、企業の、
マネジメントのスタート地点を今一度確認するいい機会となりました。
企業の本質を知らずに経営を行う愚を犯さないためにも再度、
深く考えてみてはいかがでしょうか。
佐藤 等