中企業のマネジメント【経営のヒント 356】
今日も第54章。
「小企業のマネジメント、中企業のマネジメント、大企業のマネジメント」という長いタイトルの章からです。
前回は、企業規模の定義の難しさを話題に取り上げました。
今日は中企業に関するものです。
まずは今日の一言から。
<ドラッカーの一言>
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中企業は二流の事業に手を出して失敗しやすい。
中企業はすでにそれぞれの分野で一流である。
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『マネジメント<下>』p.81 1973年 ダイヤモンド社
「中企業は多くの点で理想的な規模である。大企業と小企業双方の利点に恵まれている」と指摘しました。
その理由をいくつか挙げました。
1)誰もがお互いを知っており、容易に協力できること
2)チームワークは努力なしにひとりでに生まれること
3)誰もが、自分の仕事が何であり、期待されている貢献が何であるかを知っていること
4)資源は十分あること
その効果として、基幹活動が十分にできること、卓越性を発揮できること、規模の経済を手にすることができることなどを挙げました。
逆に言えば、4つの理由を満たしているような企業が小企業から中企業になる条件であり、その結果、卓越性や規模の経済を手にできるということができます。
小企業が目指す状態として具体的です。
さて、この章には、中企業のマネジメントの心得というテーマが設定されています。
どの中企業も同じ病にかかりやすいといいます。
病の名前は「肥満」です。
原因は中会社の平凡な日常にあります。
その結果、二流の事業に手を出して失敗しやすいといいます。
心当たりはありませんか。
イノベーションは強みを強化するものでなければなりません。
分散は地獄、集中が極楽への道です。
中企業のマネジメントに必要なのは、自己規律です。
成果をあげている分野に集中し、そうでない分野は抑制と禁欲で押さえ込む必要があります。
「中企業とは、事業が何であり、何であるべきかを知り、かつ、あらゆる資源を集中することによって初めて成功することのできる規模の企業である」とのドラッカー教授の指摘は、小企業のあるべき方向としても必要な要素です。
突然、小企業が中企業になるのではありません。
強みと事業の集中の蓄積度が小から中へと押し上げる源泉です。
今一度、集中すべきものを確認下さい。
佐藤 等