基盤にある知識労働者というコンセプトについて【経営のヒント 490】
今月はドラッカー教授のマネジメントの基盤にある知識労働者というコンセプトについて
3回にわたってお届けします。今日はその二回目です。
少し長い引用を先ず読んで下さい。
<ドラッカーの一言>
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頭のよい者がしばしばあきれるほど成果をあげられない。
彼らは頭のよさがそのまま成果に結びつくわけではない
ことを知らない。頭のよさが成果に結びつくのは体系的な
作業を通してのみであることを知らない。
(中略)
それらの資質を結果に結びつけるには、成果をあげる
ための能力が必要である。
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『実践するドラッカー〔思考編〕』p.14
『経営者の条件』p.18
お客様が価値を感じ、使用し、対価を支払います。
その結果、お客様は何かの変化を手に入れます。それが成果です。
そのために組織に属する「人」が関与します。現代では知識労働者と呼ばれます。
ここで大切なことは知識労働者は、知識労働(ナレッジワーク)と肉体労働(マニュアルワーク)の両方を、
もしくは混合で行っているということです。純粋に知識労働のみ行うことはほとんどの場合、ありません。
たとえば企画書を作るという仕事は、大まかにいうとアイディアを考えるという要素と
それを表現するという要素で成り立っています。
アイディアを考えることは純粋な知識労働ですが、
表現するためにたとえばパワーポイントでコンテンツを作成するには、
キーボードを打つという作業が欠かせません。
つまり「頭のよさという資質」と「成果」の間に「体系的な作業」がなくてはならないということです。
企画書を作成するためにかかる時間はキーボードを打つスピードに依存する部分が少なからずあります。
これは時間当たり何個生産できるかという考え方、
つまり効率という肉体労働の思考と基本的には変わりません。
しかし早くできるからといって、良い企画書ができるとは限りません。
キーボードを打つその中身が問題だということです。
ドラッカー教授は「頭のよさという資質」と「成果」の間に「体系的な作業」の他に
「成果をあげる能力」が必要であると述べました。
この点については次回詳しく述べたいと思います。
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<実践のための問い>
主要な仕事の中にある肉体労働的な作業は何ですか? 3つ以上挙げてみてください。
佐藤 等