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イノベーション機会は成功の可能性の高い順に探索する【経営のヒント 564】

イノベーションに関する原理の説明が続いています。

その中でも、特にイノベーションの機会について焦点を合わせた原理が多く存在します。
今日の原理は、すでに説明した<マネジメントの原理24>
「イノベーションの機会を知覚する」に関係するものです(第561号)。

第561号では、「イノベーションの7つの機会」を挙げました。
復習のために再掲載しておきます。

①予期せぬことを探す
②ギャップを探す
③ニーズを見つける
④産業構造の変化を知る
⑤人口構造の変化を活用する
⑥認識の変化をとらえる
⑦新しい知識を活用する

さてマネジメントの原理です。
「イノベーション機会は成功の可能性の高い順に探索する」
<マネジメントの原理28>

この原理は重要です。
実行リスクがより小さい順に並んでいるからです。
リスクの少なさは、リードタイムの短さでもあります。
つまりイノベーションの実現までにかかる時間がより少なくてすむことを意味しています。
それは、人材をはじめとした経営資源の生産性に関わる問題でもあります。

たとえば、①「予期せぬことを探す」のなかには、「予期せぬ成功を探す」が含まれています。
予期せぬ成功とは、一度以上の成功、すなわち取引などが完了しているものを含む考え方です。

もし、「予期せぬ成功」に出合ったら、たまたまの成功を常なる成功に変えることです。
再現性を高めると言ってもよいでしょう。

また「イノベーションはまず小さく始めよ」
<マネジメントの原理27>に関していえば、小さなテストを繰り返す中から、予期せぬことを
探すことです。
たとえば自分たちが想定していない用途で使われたなどはその最たるものです。
それをたまたまと片付けない姿勢が大切です。

②ギャップもすでに課題が明確であるという意味で可能性が高い機会となります。
ビジネスプロセスの欠陥が具体的に一つ明確に解っているものは、イノベーションの機会と
なりえます。
もしその解決法がみつかれば業界のすべての人が飛びつくような機会です。

この原理の教えるところに従えば、「成功の可能性が高い順に徹底的に機会を探索すること」が
重要です。
新しい知識の活用などは後回しでよいことが解ります。
本気でイノベーションを起こそうとしたら、これは大切な原理です。

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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