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人の生産性はあがらない、仕事の生産性をあげる【経営のヒント 573】

今年も残すところ1ケ月となりました。
年初から続けてきた原理のマネジメントも、今日から人のマネジメントに移行します。
その前にこの連載を始めるに当たって確認のため当初、冒頭に必ず記述していた次の言葉を
思い出したいと思います。

私たちは成功の方法を求めすぎているのではないか。
ドラッカー教授からマネジメント哲学を学ぶほどに、そう思わずにはいられません。

それはマネジメントの本質が原理・原則にあるからです。
そこにあるのは成功の文字ではなく、失敗の文字です。
原理・原則にしたがっているからといって成功は保証されるわけではありません。

しかし原理・原則に反したとき長期的には必ず失敗が約束されています。
この冷徹な事実から眼を背けてならないと思うのです。

教授から、そのマネジメントの哲学を学べば学ぶほどマネジメントとは失敗しないために
身につけなければならないものだということを思い知らされます。
成功を求めて原理に反した方法をとるという愚を犯さないために原理のマネジメントを
大いに活用したいものです。
ぜひ方法ではなく原理を手にしたいものです。
さて、人のマネジメントの本題に入ります。人が仕事をしているという現実から、両者の
マネジメントは混同しやすいものになります。

多くの問題は、仕事のマネジメントの不十分さが引き起こしています。
仕事のマネジメントは、人のマネジメントの土台です。
不安定な土台の上に人材育成やコミュニケーション、動機づけなどの人のマネジメントに
関する方法論だけ学んでも、常に不毛であることは多くのマネジャーが経験済です。

仕事のマネジメントの原理で述べた次の言葉はその反映です。
仕事のマネジメントと人のマネジメントの峻別は何度繰り返しても言いすぎではないほどに
重要です。
なぜなら両者は、マネジメントの原理そのものが本質的に異なるからです。
仕事のマネジメントは、論理的、分析的な世界です。
これに対して人のマネジメントは、非論理的、情緒的な世界です。
この異質性の交わりが日々の仕事の中で問題を生じさせる根本的な原因です。

人の生産性はあがらない、仕事の生産性をあげる
<マネジメント36>

人を管理するのではなく仕事のプロセス(作業や動作)を管理する
<マネジメントの原理40>

今日は、仕事マネジメントと人のマネジメントに関する最も重要な原理を示し、次回から
具体的に人のマネジメントに触れる支柱にしたいと思います。

仕事のマネジメントは、人のマネジメントの土台である
<マネジメントの原理41>

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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