人のマネジメントは、人の多面的な側面を理解して行なう【経営のヒント 580】
これまで5回にわたり「人のマネジメント」における人がもつ5つの側面に焦点を当てて
説明してきました。
5回分の説明の中で導き出されたた原理をまとめておきます。
思いのほか多く原理化できたと思います。
なお前回、5.政治的な側面に関する説明の中から原理を抽出して記載することを失念して
いますので付記します。
<マネジメント原理44>は、以下の原理の起点になるものです。
人のマネジメントは、人の多面的な側面を理解して行なう
<マネジメントの原理44>
そして<マネジメントの原理45>では、人の多面性を5つの側面で表現しました。
人のマネジメント上考慮すべき側面は5つある―
1.生理的な側面、2.心理的な側面、3.社会的な側面、4.経済的な側面、5.政治的な側面である。
<マネジメントの原理45>
以下、それぞれの説明の中から抽出した原理を示します。
1.生理的な側面
人には、それぞれ独自の働くリズムやスピード、持続時間があり、それらを自ら
コントロールしている。
<マネジメントの原理46>
2.心理的な側面
人は自己成長のために働く
<マネジメントの原理47>
自己成長のためには内発的な動機づけが必要である
<マネジメントの原理48>
内発的に動機づけるためには、自己決定と有能感を実感するための自己評価が必要である
<マネジメント原理49>
3.社会的な側面
組織は働くことをとおして人と社会をつないでいる
<マネジメントの原理50>
組織には方向づけが必要である
<マネジメント原理51>
組織を方向づけるには、ミッションや成果の明示などあらゆる方法で対応する
<マネジメント原理52>
コミュニケーションは、組織を方向づけるために行う
<マネジメント原理53>
人は金銭や褒めるといった外発的な要因だけでは真に動機づけられることはない
<マネジメントの原理54>
4.経済的な側面
生計の資は働くことによってもたらさせる
<マネジメント原理55>
生計の資は、人件費として組織の付加価値からもたらされる
<マネジメント原理56>
組織の利益は付加価値からもたらされる
<マネジメント原理57>
組織の付加価値は顧客によってもたらされる
<マネジメント原理58>
5.政治的な側面
働くということは、誰かの権力の影響を受けるということである
<マネジメント原理59>
働くということは、他人が決めたことに従うという効率を前提とした権力構造の中に
いることを意味する
<マネジメントの原理60>
知識社会では、一定の範囲で選択することが任される領域が責任と
ともに生じる
<マネジメントの原理61>
以上、人のマネジメントに関して15個の原理を抽出することができました。
ここで原理の性格を確認しておきましょう。
「原理・原則にしたがっているからといって成功は保証されるわけではありません。
しかし原理・原則に反したとき長期的には必ず失敗が約束されています」
いかがでしょうか。
人材不足の時代にあって原理に反していることは、致命傷です。
その都度、確認しながら進めて行きましょう。