自己成長のためには内発的な動機づけが必要である【経営のヒント 583】
「人のマネジメント」における人がもつ5つの側面を深掘りすることで可能な限り多くの
原理を取り出しています。
前回同様、人の多面性を5つの側面で表現した原理の復習からです。
人のマネジメント上考慮すべき側面は5つある―
1.生理的な側面、2.心理的な側面、3.社会的な側面、4.経済的な側面、5.政治的な側面である。
<マネジメントの原理45>
今回も2.心理的な側面からです。
以下は第576号で取り出した原理です。
取り出した過程に関する考察は、第576号で復習して下さい。
人は自己成長のために働く
<マネジメントの原理47>
自己成長のためには内発的な動機づけが必要である
<マネジメントの原理48>
内発的に動機づけるためには、自己決定と有能感を実感するための自己評価が必要である
<マネジメントの49>
さてここでは他に取り出せる原理はないかを考えてみます。
今日は<マネジメントの原理49>を掘り下げてみます
(前回は48を検討しました)。
自己評価とは、自己目標管理における一つのステップです<原理73>。
スタートは、自己目標の設定です。
自己目標の目的は自分成長です。
間違ってならないのは、自己目標はあくまでも自分のためのもので組織のためのものでは
ないということです。
あくまでも組織という仕事の場を利用して自己開発し、自己成長を遂げることが目的です。
つまり組織が昇進や昇給などの目的で自己目標を利用することは、厳に避けなければ
ならないということです。
マネジャーは、純粋に部下の成長のために自己目標設定の当否について見守り、ときに
アドバイスする立場です。
その情報を用いて人事考課を行うなどは仕組みの誤用といわなければなりません。
自己目標設定に何らかのバイアスがかかる状態は回避しなければならないからです。
マネジャーの役割は、目標設定に関するアドバイスと自己評価に必要な定期的な測定情報の
提供のみです。
目標の設定は、自己成長の場である所属部門への「貢献」の形で設定することが基本です。
その際、測定可能な形(メジャーの設定)で定めることが重要です。
メジャーの設定とともに水準を定めこれらを書きとめておきます。
設定された自己目標は、実行しつつ定期的に振りかえります(フィードバック)。
そして半年、9か月、1年など結果を定期的に自己評価します。
この際、メジャーと設定水準は重要な情報となります。
このプロセスはサイクルです。
つまりフィードバック情報を日々の実行に生かしつつ、次の自己目標設定に反映させます。
ドラッカー教授は、自己目標管理をマネジメントの哲学であるとまで言いました。
しかし、まともに機能していないとも嘆きます。
そもそもドラッカー教授が目標管理MBO(Management by Objectives)というコンセプトを
生み出したとき、この言葉のあとにand self-controlがついていました。
そもそも個人の道具として誕生したものだったのです。
この部分がいつしか欠落し、組織の道具として世の中で使われるようになり、機能しない
道具となってしまいました。
組織の目標が不要といっているわけではありません。
明確に分けて使わなければならないということです。
前回一部先取りして示しましたので以下に再掲します。
内発的動機づけのための重要な決定に自己目標の設定がある
<マネジメントの原理72>
自己目標の設定は所属するチームへの貢献のかたちで定める
<マネジメントの原理73>
自己目標の設定と自己評価のプロセスを自己目標管理という
<マネジメントの原理74>
さらに今日取り出した原理をまとめておきます。
自己目標は、測定のためのメジャー(基準)と到達水準を定める
<マネジメントの原理75>
自己目標の到達水準を知るために測定情報を入手する
<マネジメントの原理76>
測定情報をもとに自己評価を行う
<マネジメントの原理77>
自己評価のためには、自己目標が必要である。
<マネジメントの原理78>