人のマネジメント上考慮すべき側面は5つある【経営のヒント 585】
「人のマネジメント」における人がもつ5つの側面を深掘りすることで可能な限り多くの
原理を取り出しています。
前回同様、人の多面性を5つの側面で表現した原理の復習からです。
人のマネジメント上考慮すべき側面は5つある―
1.生理的な側面、2.心理的な側面、3.社会的な側面、4.経済的な側面、5.政治的な側面である。
<マネジメントの原理45>
今日は4.の経済的な側面についてさらに検討します。
第578号では、2つの側面から説明しました。
第一に、働くことで賃金を得、一人ひとりの生計を支えます。
第二に、仕事が組織に利益をもたらし、事業活動と組織自体を支えています。
第578号では、第一の賃金という側面から2つの原理を提示しました。
人は金銭や褒めるといった外発的な要因だけでは真に動機づけられることはない
<マネジメントの原理54>
生計の資は働くことによってもたらさせる
<マネジメントの原理55>
また第二の利益という側面から以下の3つの原理を示しました
生計の資は、人件費として組織の付加価値からもたらされる
<マネジメントの原理56>
組織の利益は付加価値からもたらされる
<マネジメントの原理57>
組織の付加価値は顧客によってもたらされる
<マネジメントの原理58>
これら3つの原理の基礎には<マネジメントの原理13>があります。
利益は組織が役割(ミッション)を果たすための条件です
第552号から第558号は、利益に関連する原理を取り上げています。
再度確認することをお薦めします。
その中に<原理17>(第556号掲載)がありました。
<原理57>と同じ意味です(重複しています)。
とくに第556号では、事業と付加価値の関係を整理していますのでお読みください。
また、利益は付加価値の一項目である<原理17>
また、第557号掲載の次の原理はより根源的です。
企業行動は、利益の最大化ではなく、損失の回避である
<マネジメントの原理18>
損失を回避するのは、社会的な道具である組織が、社会的な使命を果たし続けるために
必要だからです。
これらは以下の<原理>に通じています。
マネジメントの原理1(第540号)
組織は道具である
<マネジメントの原理2>(第541号)
組織という道具には目的がある
組織の目的は社会において特定の使命(ミッション)を果たすことである
<マネジメントの原理3>(第543号)
今回は新しい原理はありませんでしたが、「働くこと」の意味を考える際には、組織に関する
根本原理にまでも戻る必要があることがわかると思います。
このように原理によるマネジメントは、少ない情報で自ら考える基準となり、失敗しないため
の意思決定へと自らと組織を導く役割を担っているのです。