リーダーは、模範として組織を象徴する存在である【経営のヒント 600】
人のマネジメントについて全体を見渡して触れていない原理を探索しています。
今日は、マネジャーと似た概念であるリーダーについて述べていきます。
リーダーは、模範として組織を象徴する存在である
<マネジメントの原理116>
しかし一方でリーダーは多くの組織で求められています。
リーダーに向く資質はあるのかもしれませんが、そのような存在を期待しては
いけません。
待っていては組織社会が機能しなくなるからです。
ドラッカー教授は、リーダーシップは、特別なことではなく仕事であるといいます。
それは、誰でも発揮できるものであるということです。
多くの人ができることでなければ社会が不全に陥るからです。
もちろん苦手な人や身につけられない人はいます。
それは何かのスキルを身につけられないのと同様です。
教わることはできないが、身につけることはできる。
リーダーにふさわしい性格や資質はないということです。
また誤解しがちなこととして、単に言葉だけで先導しようとする者は、扇動しようとして
いるのであって真のリーダーではありません。
リーダーシップの本質は模範となることです。
リーダーシップの絶対条件は言葉に行動が伴うこと、言行一致です。
しかも発する言葉は「われわれ」であり、「私」でないということです。
組織のミッションを語り、その中で自分が果たすべき役割を考えることができるという
ことです。
それはまた組織に寄せられる期待や解決すべき課題に向き合う姿勢でもあります。
それは組織のことを優先的に考える姿勢です。
このような姿勢は習慣の賜物です。
それは、多くの人ができることでなければならないということです。
そのうえでリーダーがなすべきことは、組織を方向づけることです。
個人的な主義主張で組織を導くのではありません。
ドラッカー教授のマネジメントの中にはこのための道具がたくさんあります。
その例を以下に示します。
われわれのミッションは何か。
われわれの顧客はだれか。
顧客にとっての価値は何か。
われわれにとっての成果は何か。
われわれの組織の強みは何か。
われわれの強みを生かせる機会は何か。
われわれが大切にしている価値観は何か。
言行一致の「言」とは、リーダーの個性で発する言葉ではありません。
「われわれ」の向かうべき方向を誤解なく理解してもらうことです。
これらの方向づけの起点にあるものがミッションです。
したがってミッションを明文化することが求められます。
なぜなら組織のミッションは、組織という道具の目的を表しているからです。
一緒に働く者が、組織という道具の目的を知らずして働くことほど、かれらを誤導させる
ことはないからです。
誤導というより迷宮入りです。
ミッションこそはリーダーシップの源泉です。
どこの組織でも通用するような不明確なミッション、朝礼で唱和するだけの理念ではなく
日々の仕事の拠り所となるものであることが求められています。
リーダーシップやミッションという使い古された道具(概念)の正しい使い方を今一度、
確認したいものです。