人のために行う仕事は人を成長させる機会となる【経営のヒント 608】
前回からセルフマネジメントの領域を取り上げています。
ドラッカー教授のマネジメントの体系の4つの柱の一つです。
前回はセルフマネジメントの目的である自己成長、自己実現について考えてみました。
前回の原理の復習からです。
<マネジメントの原理124>
人のために行う仕事は人を成長させる機会となる
この原理は、以前に掲載した次の原理と表裏一体をなすものです。
<マネジメントの原理100>
人を育成することはできない、人は自ら学び成長する存在である
人生100年時代においては、人は何度か職場や職種を変えて仕事を行うようになります。
これがすでに進行している未来です。
このような時代は、終身雇用を前提としたこれまでの人材育成の方法は通用しません。
つまりその組織の中でのみ生かせるスキルや知識などを中心とした、いわゆる業務研修では
不十分だということです。
「不十分です」という意味は、そこで働く人にとって不十分ですというということです。
それは数十年続くかもしれない人材の採用難という環境の中で、選ばれる組織にはならない
ことを意味します。
組織は、選ぶ時代から選ばれる時代に変わりました。
一人ひとりの成長を組織の目的にすえない組織には明るい未来はやってこないということです。
さてその際に考えるべき重要な点は、
「人のために行う仕事は人を成長させる機会となる」の「人のために行う仕事」の部分です。
それは、自分が行っている仕事や作業は、誰に、どんな価値を提供することにつながって
いるのを考えることです。
最終的には、顧客はなぜ当社を選ぶのかに答えることになります。
しかし組織で働いている場合、すべての人が顧客と直に接する訳ではありません。
しかし間接的だから重要ではないということはありません。
たとえば契約書を作成するスタップや請求書を発行する担当者の仕事は重要です。
それは事業活動の重要な一つの「貢献」です。
それゆえ顧客に価値を提供するために「私はどのような貢献をすべきか」を常に考えることが
求められます。
「貢献」は成果をあげる能力の中核的なものです。
まずは、なすべき貢献を常に考える習慣を身につけることから始めましょう。
<マネジメントの原理102>(再掲)
あげる能力は以下の5つを中核とする
1.時間を管理する
2.貢献に焦点を合わせる
3.自分の強みを生かす
4.重要なことに集中する
5.成果のあがる意思決定を行う
今日の原理をまとめておきます。
以降、順次5つの能力の解説を行っていきます。
<マネジメントの原理125>
顧客に価値を提供するために「私はどのような貢献をすべきか」を問う