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顧客に価値を提供するために「私はどのような貢献をすべきか」を問う【経営のヒント 609】

しばらくセルフマネジメントの領域を取り上げます。
セルフマネジメントは、ドラッカー教授のマネジメントの体系の4つの柱の一つです。
前回の原理の復習からです。

<マネジメントの原理125>
顧客に価値を提供するために「私はどのような貢献をすべきか」を問う

「すべきこと」とは、上司や組織に期待されていることです。
その期待は顧客や社会の期待につながっています。
言葉を変えると組織の外の世界における変化である成果につながっています。

さて「すべきこと」と「できること」は違います。
たとえば新入社員には「できること」は多くありません。
「すべきこと」つまり期待も最初は小さなものです。
やがて「できること」が増えてくると期待も大きくなっていきます。
「これを任せてみようか(すべきこと)」となります。
最初はできないかもしれませんが、先輩のアドバイスなどにより「できること」になります。
このように「すべきこと」が「できること」が増えていくことは、自己成長の重要な要素です。
「できること」を広げたり、深めたりする際に自分の強みを使うことが効果的です。
強みとは、その人固有の資質やワークスタイルのことです。
また一人ひとりの価値観も生かすことが重要です。
自分はどんな時に、そんな場面でもっとも自分を活かせるのかを知ることは「できること」を
広げ、深めるために大切です。

<マネジメントの原理126>
顧客に価値を提供するために
「私はどのような強みを生かして仕事を行うべきか」を問う

強みと得意分野は異なります。
英語が得意など後天的に習得できるスキルなどは得意分野に属するものです。
強みは資質、すなわち生まれつきもしくは社会に出る前に身についた生得的なものをいいます。
知らない強みは磨けませんし、使いこなすことができません。
それゆえ最初に自分の強みを発見することが重要です。
そのためにはフィードバック分析が有効です。
何かを行う際には、到達時期とその水準を決めておきます。
うまくことが運んだ時、自分のどんな強みが生かされたかを振り返ります。
うまくいかなかった時はその逆に弱みに関係しているかもしれません。
こうして自分はどんな時に成果をあげる行動をすることができるのか知ります。
事前に書き留める、事後に振り返る―それがフィードバックの本質です。
知った強みは、磨きつつ、活用します。
資質やワークスタイルを使いこなすことは、「できること」を増やす基本です。
「すべきこと」と「できること」という認識を常に持つことができればその成果は大いに
期待できるものになることでしょう。

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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