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意思決定は、問題の本質を見極め、真の問題を対象とした意見の土台をつくることから始める【経営のヒント 618】

前回から意思決定をテーマにしています。前回の復習からです。
意思決定は、手順にしたがう。
(1)問題の本質を見極め、真の問題を対象とした意見の土台をつくる
(2)関係者から異なる意見を集め、複数の選択肢をつくる
(3)一つの選択肢を選んで実行に移す
(4)同時に成果の基準を明確にし、モニタリングを行う
(5)実行結果をモニタリングし、フィードバックを行う

今日は、
「(1)問題の本質を見極め、
真の問題を対象とした意見の土台をつくる」
についてです。


意思決定は、組織の各階層でそれぞれ行われています。
問題の見え方も様々です。

たとえば、中間管理職が見る全社的な問題の見え方は、
自分あるいは自分たちの部門を基準とした視点で見てしまいます。

意見の土台を作るのは、
意思決定に参加するメンバー共通の理解を形成するためです。
それぞれが、異なった問題のとらえ方をしていると
あるべき意思決定に到達しないかもしれないからです。
3つの点が重要です。

あ)その問題は、一般的なものか例外的なものか
い)問題の根本は何か
う)意思決定の目的は何か

あ)その問題は、一般的なものか例外的なものか、から説明します
前提に一般的な問題は原則によって処理するというルールがあります。
したがって意思決定すべき場面は、例外的な問題に対処するときか
一般的な問題に対処するための原則を設けるときに限られます。

そう考えると意思決定すべき場面は、
そう多くないということになります。

またその人には、例外的なことと見えても経験のある人にとっては
原則で対処すべき問題も多いものです。
さらに世の中では、M&Aなど一般的な問題ですが、
その組織にとっては例外的な問題に見える場合もあります。

一般的、例外的の区別は相対的なものであることがわかります。
大切なのは共通理解という土台の上に
意思決定すべき者全員が立っていることです。

い)問題の根本は何かについてです。
真の問題を探り当てるということです。
目に見えている問題は、表面的なものであることが多く、
その奥にある真の問題をあぶりだすことが重要です。

トヨタが「なぜを5回問う」のもこのためです。
ここで問題と課題について考えてみます。
両者な異なる概念ですが、混然としています。

問題は、あるべき姿と現状との差のことです。
課題は、この差をつめるための具体的活動のことです。

目標とする客単価に100円足りないという問題に対して、
課題として客単価のアップという課題があります。
この課題を解決するための「対策」を
この会議で意思決定しようということになります。

う)意思決定の目的は何かについてです。
この意思決定で実現しようとしていることは何かを問うことです。
先の例では、
客単価をあげることで実現しようとしていることは何か
を問うことです。

たとえば、対象顧客をより明確にし、
よりよい価値を提供する環境を生み出すこととなります。

真の問題と目的という重要な情報を共有することで、
意思決定の土台が出来上がります。
その土台なしに意思決定が行われていないかを
今一度問い直してみたいものです。

<マネジメントの原理132>
意思決定は、問題の本質を見極め、
真の問題を対象とした意見の土台をつくることから始める

佐藤 等

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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