マネジメントの仕事【経営のヒント 280】
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』という長いタイトルの本が134万部の記録的売上を打ち立て、なお快走中です。
今日の一言は、上記「もしドラ」で最も有名になった言葉でもあります。
それは『マネジメント』<中巻>第31章「マネジメントの仕事」の章末にあります。
<ドラッカーの一言>
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才能ではない。真摯さである。
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『マネジメント<中>』p.30 1973年 ダイヤモンド社
「マネジメント(manager)にできなければならないことは学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、初めから身につけていなければならない資質が一つだけある」
この言葉の後に今日の言葉が続きます。
真摯さ。徳性を感じる重々しい言葉です。誠実、まじめで熱心、ひたむきな様などの意味があると辞書にはあります。どれも帯に短い感じです。
ドンピシャの言葉がない。英語でintegrity、なかなか日本語に訳すのが難しい言葉です。同名のタイトルの米書の日本語訳はインティグリティ、つまり適当な日本語なしと結論づけました。
一方でintegrityは、integrateという言葉から派生していることから、もう一つの意味を持つという考え方があります。integrateには、統合させる、調和させるという意味があります。実は、この章にはマネジャーの役割として2つのことが示されています。
第一に事業のマネジメントと人と仕事のマネジメント、社会的責任のマネジメントをバランスさせ、調和させるとあります。
第二に時間軸の長短バランスをとることが述べられています。
これは偶然でしょうか。もしかしたらintegrityには、徳性を示す訳語の他に、調和、バランスをとることという意味を含んでいるのではないかと興味をそそられます。有名になった言葉にもう一つの意味が隠されているかも…
「ダヴィンチコード」なみのミステリー?…と騒いでいるのは私だけでしょう…おそらく。
ともあれマネジャーには、バランス感覚が求められています。
長たる者、多分野かつ時間軸のバランス感覚を磨かなければなりません。
佐藤 等