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マネジメントの必要性【経営のヒント 278】

今日から『マネジメント』の中巻に入ります。
今日は第29章「マネジメントの必要性」からです。今日の一言です。

<ドラッカーの一言>
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マネジメントは行わざるをえない。しかし、それがよく行われるか
悪く行われるかが、組織が生き残り繁栄するか、それとも衰退し、
やがて消滅するかを決める。
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『マネジメント<中>』p.14 1973年 ダイヤモンド社

マネジメントの起源はアメリカの鉄道会社です。大陸横断鉄道は難事業でした。用地取得、資金確保、安全運行の仕組みの確立など多様な仕事をこなさなければなりませんでした。マネジメントは19世紀はじめに、鉄道会社のような大企業から始まったのです。ヨーロッパでは銀行、日本では財閥などが早くからマネジメントを取り入れていきました。

マネジメントは必要か、不要かという議論があった時期があります。
1905年、ゼロからスタートしたヘンリー・フォードというオーナー経営者のワンマン経営が15年で世界最大のメーカーをつくりあげました。隆盛を極めたフォード社は1927年に早くも転落の憂き目をみます。塗炭の時代を経て1944年に孫のヘンリー・フォード2世が同社を引継ぎました。
彼はワンマンを廃し、マネジメント・チームをつくり、建て直しを図りました。

そのときお手本となったのは後発の寄せ集め軍団GMでした。
1920年代のGMは、アルフレッド・P・スローン・ジュニアが社長に就任し、マネジメント・チームによる経営をスタートさせていました。
採用した事業部制を見習い多くの企業が成功を収めていきました。

1位から転落したフォードを継いだヘンリー・フォード2世は1946年にGMを手本に改革着手。ライバルメーカーとして復活を遂げました。
フォード物語とGM物語が語るものは、マネジメントの必要性です。今やマネジメントは不要であるとの主張は、過去のものです。しかし真にその必要性を認めているかははなはだ疑問です。なぜならいまだカリスマ経営者神話があります。
カリスマは結局組織を弱体化させるというのがドラッカー教授の考え方です。

ドラッカー教授が『現代の経営』でマネジメントを体系化して55年が経とうとしています。その姉妹書ともいうべき本書『マネジメント』のエッセンシャル版が50万部を突破しました。この事実から真のマネジメントが現場に定着していないのではないかという疑問が頭を離れません。それとも断絶の時代の終期にあってはじめてその必要性に目覚めたのかもしれません。

いずれにしても「善き経営にマネジメントあり」を証明する責任は、私たちにあります。ともに学び、実践していきたいとあらためて決意を新たにしました。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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