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マネジメント教育の目的【経営のヒント 797】

自己実現の動機を外から与えることはできない、動機は内側から生まれなければならない。しかし企業や上司は、最も強い自己実現の動機を持つ者に対してさえ、その動機を喪失させ、努力の方向を誤らせることができる。したがってマネジメント教育を実り豊かなものとするには、組織や上司がこれに積極的に参加し、奨励し、指導していかなければならない。
『経営の真髄』<下>p.33

ドラッカーは、マネジメント開発とマネジメント教育を相互に関連するものとしてその目的を示しました。

マネジメント開発の目的:組織の健全さと成果、成長にある
マネジメント教育の目的:人間として同時に組織の一員としての健康、成果、成長にある

前者の対象は組織、後者は個人ということです。

マネジメント開発は、「われわれの事業は何か。何であるべきか」との問いから始まります。現状からスタートし、未来に視線を向けるのです。それゆえマネジメント開発の役割は、革新者、組織破壊者、批判者だとしました。明日の事業に必要なスキルを今日獲得するためです。

マネジメント教育は、その人をしてその能力と長所を最大限に発揮させ、成果をあげさせることにあります。ポイントは卓越性の伸長にあります。明日の事業を意識しつつ、その卓越性をどのように生かして行くかと問うことです。

冒頭の言葉は、上司の役割の大きさを示しています。マネジメント教育は上司が成長する場でもあるということです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

 

 

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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