プロフェッショナルの倫理【経営のヒント 277】
今日は第28章「プロフェッショナルの倫理」からです。今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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「知りながら害をなすな」こそ、プロとしての倫理の
基本であり、社会的責任の基本である。
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『マネジメント』p.431 1973年 ダイヤモンド社より
2500年前のギリシャの名医ヒポクラテスの誓いの一説です。原文を直訳したものは「自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない」(Wikipedia)です。この言葉は弟子たちへのプロとしての守るべき心得を宣誓させてものです。
当時既に現在のプロフェッショナルと呼ぶべき集団が存在したことがわかります。
特定分野における知識と技術を用いることを許された者は、知識の乏しい一般の人々に害をなすような振る舞いはしてはいけないという戒めの一言です。
ドラッカー教授は、今日のマネジャーこそがこの教えを遵守すべきだと指摘しています。そもそもマネジャーが属する組織という存在は、社会に何らかのインパクトを与えるものであることは272号でお伝えしたとおりです。一例をあげれば、工場であれば騒音や排煙で社会環境にインパクトを与え、事務所であってもゴミを出し通勤ラッシュという形で社会にインパクトを与えています。
たとえば、害毒があると知りながら排煙を吐き出し続けるのは、この教えに反する行為です。産地偽装、日付改ざん、粉飾などすべてこの類です。
真実を知りえない立場にあるものをだましてはいけないという教えです。
ドラッカー教授は、この教えをプロたるもの、特に現代のマネジャーに求めたのです。倫理観とは、法令順守など最低を画するものではありません。
高い規律の下、日々過ごしているかが問われるのです。
>>>次回から「中巻」に入ります。
佐藤 等