「ものの見方」に違いが出るのは「関心」に違いがあるから【経営のヒント 802】
間違った方向づけは、階層によって仕事と関心に違いがあることからも起こる。
『経営の真髄』<下>p.42
ドラッカーは、「組織には、人を間違った方向へ持っていく大きな要因4つある」という。
- 専門化
- 上司
- 階層
- 報酬
今回は 3. 階層についてです。階層が人を間違った方向へ導く原因は階層ごとに「ものの見方」に違いがあるからです。「ものの見方」は、本質的には一人ひとり異なります。これに階層ごとの「ものの見方」が加われば、複雑性はかなり高くなります。
「ものの見方」に違いが出るのは「関心」に違いがあるからです。つまり上司の関心と部下の関心は異なるということです。
「人間は、欲望、関心、目的にしたがって価値を見出し、行動する(価値の原理)」という普遍原理があります。ドラッカーが指摘した「階層による間違った方向づけ」は価値の原理で説明することができます。
ドラッカーは、この問題は「善意や態度では解決できない」といいます。また「コミュニケーションの改善でも解決できない」といいます。
とはいえ緩和するには、やはりコミュニケーションの改善は欠かせません。具体的には、言葉の共通化とその理解を増進させておくことです。
それでもなお人を間違った方向に導く可能性があることを意識してマネジメントを行わなければなりません。なぜならマネジメントの要諦は、組織の方向づけだからです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)