組織の目標の設定に参画する【経営のヒント 806】
目標は、自分が属する部門への貢献によって規定しなければならない。
『経営の真髄』<下>p.48
貢献によって規定するとは、必ずしも明確な数字によって規定されるものではないことを意味しています。典型的な誤りは、販売部門で単に部門部目標を各担当者に割り当てるような方式での目標の設定です。これでは部下の強みを生かした部門運営はできません。
初対面でもコミュニケーションをとるのが得意な担当者には、新規開拓による販売先件数の目標を多めにし、ルート営業が得意な担当者には大口の販売先への拡販目標を多めにするなど、その人の強みを生かし、貢献できる範囲を増やすような目標設定が求められています。
基本的に目標は自分で設定します。責任を持って目標を設定するには、上位の目標について知らなければなりません。それゆえドラッカーは「自らの属する組織の目標の設定に参画することが、一人ひとりの責任だ」といいます。
「組織全体の目標を知り、自分に何が、なぜ求められているかを知らなければならない」「全員が目標の設定に参画するとき、互いに何を期待し、何を要求できるかが起きらかになる」といいます。貢献に対する期待、貢献に対する要求、これらのものが事前にオープンに対話されるという環境が求められているのです。目標設定は実務上重要な活動です。基本と原則に沿っているか一度、確認したいものです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)