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組織の目標の設定に参画する【経営のヒント 806】

目標は、自分が属する部門への貢献によって規定しなければならない。
『経営の真髄』<下>p.48

貢献によって規定するとは、必ずしも明確な数字によって規定されるものではないことを意味しています。典型的な誤りは、販売部門で単に部門部目標を各担当者に割り当てるような方式での目標の設定です。これでは部下の強みを生かした部門運営はできません。

初対面でもコミュニケーションをとるのが得意な担当者には、新規開拓による販売先件数の目標を多めにし、ルート営業が得意な担当者には大口の販売先への拡販目標を多めにするなど、その人の強みを生かし、貢献できる範囲を増やすような目標設定が求められています。

基本的に目標は自分で設定します。責任を持って目標を設定するには、上位の目標について知らなければなりません。それゆえドラッカーは「自らの属する組織の目標の設定に参画することが、一人ひとりの責任だ」といいます。

「組織全体の目標を知り、自分に何が、なぜ求められているかを知らなければならない」「全員が目標の設定に参画するとき、互いに何を期待し、何を要求できるかが起きらかになる」といいます。貢献に対する期待、貢献に対する要求、これらのものが事前にオープンに対話されるという環境が求められているのです。目標設定は実務上重要な活動です。基本と原則に沿っているか一度、確認したいものです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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