雇用と所得【経営のヒント 269】
今日は、第22章「雇用と所得」からお届けします。今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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適所ならざる所にいる者は他所に
移ることができなければならない。
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『マネジメント』p.330 1973年 ダイヤモンド社より
働く者が責任を負うためには、継続雇用と所得の安定が保障されていることが必要です。その反面、今日の一言にあるように、移動の自由が保障されていることが一方で求められます。
適所で働くこと、つまり能力を発揮するのに相応しい職場で働くことではじめて組織に貢献することができ、成果をあげることができます。
当然ですが成果こそが、所得(報酬)の源泉です。したがって組織への貢献意欲と貢献結果に優れている人は、雇用の継続性が高まります。
このように自分にふさわしい場に自らを配置するという考え方はとても重要です。とりわけ知識労働者は、身一つで移動可能という特性をもちあわせていますのでなおさらです。
「埋もれさせることは、社会とともに、本人にとっても退化を意味する」とドラッカー教授は、その重要性を強調しています。
さらに、「給与を払い続けても、現実に仕事を与えなくては失業と同じ不安を与える」と付け加えます。そのためには、働く者として真に社会の生産的な一員にする仕組みが必要です。一にも二にも仕事を生産的なものとすることが大切です。
経営トップは、働く者が責任をもつという覚悟をしてもらうために、仕事を生産的にすることが第一優先事項だということを強く意識する必要があります。そうしてはじめて働く者一人ひとりが適材として自らを適所におくようになるのです。
佐藤 等