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仕事を生産的なものにし、人に成果をあげさせる【経営のヒント 259】

今日からテーマが変わります。第15章から第23章のテーマは、「仕事を生産的なものにし、人に成果をあげさせる」というものです。
マネジメントの第二の役割です。このテーマは、人間が係わっていることから、とても深遠です。

<ドラッカーの一言>
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仕事という言葉ほど茫漠とした言葉も少ない。
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『マネジメント』p.213 1973年 ダイヤモンド社より

次の問いにあなたは、どのように答えますか。
<仕事>と<休息>、どちらがいいですか。
<仕事>と<引退>、どちらがいいですか。
<仕事>と<怠惰>、どちらがいいですか。
<仕事あり>と<仕事なし>、どちらがいいですか。
<仕事>と<遊び>、どちらがいいですか。

<休憩>と<遊び>以外、多くの人が<仕事>の方を選ばれたのではないでしょうか。

少なくとも<仕事>が義務ではないことがわかります。
仕事なし=失業は社会への帰属感を喪失させます。ドラッカー教授は、社会の中における、地位と役割を得ることが個人にとって決定的に重要なことと位置づけています。したがって失業を、敵視さえしています。
<仕事>は社会とつながる重要なパイプラインなのです。

一方でドラッカー教授は、「手だけを雇うことはできない。手の所有者たる人がついてくる」と言います。組織は、人そのものを所有することはできません。<休息>も<遊び>も人全体としては必要なことです。
しかし<引退>は、まだまだ働けると思っていれば、歓迎できないことです。
さらに個人にとって<失業>は論外です。

<遊び>=<趣味>を仕事にすれば幸せだという声があります。
あるいは好きなことを仕事にすればいいとも言われます。大きな間違いです。趣味で行う草野球は楽しいでしょうが、プロ野球選手ともなれば苦労は絶えないはずです。仕事にすべきは、得意なこと、強みを生かせることです。なぜならそのときに一番成果が出るからです。成果が出ることで組織や社会に貢献することが出来ます。そのことで社会とのパイプラインがしっかり形成されるのです。

他人からは承認され、自信もつきます。世のため人のためになり、かつ成長することもできます。それが「仕事」の役割です。義務でもなければ、単に日々の糧を得る手段でもないということです。「仕事を生産的なものにし、人に成果をあげさせる」というテーマは、実に深遠です。
各章で少しずつ掘り下げていきたいと思います。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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