ホーム経営のヒントトップの育成【経営のヒント 818】

経営のヒント

HINT

経営のヒント

トップの育成【経営のヒント 818】

情報化組織にとってさらに難問となるのが、トップとなるべき人間の育成と選抜である。
『経営の真髄』<下>p.69

ドラッカーは「情報化組織」にシフトしているがゆえのマネジメント上の新しい問題を4つあげました。

  1. 専門家のためのキャリアと昇進システム
  2. 共通のビジョンの形成
  3. タスクフォースのための組織構造
  4. トップの育成

ドラッカーは難問といいました。なぜか。

情報化組織では、選考対象となるミドルマネジャーが大幅に減少しているからです。つまり選抜対象となる人材の用意が少ないのです。準備の場が激減しているということです。

では対処法はいかに。ドラッカーはドイツ流の分権化を例示しています。

「ドイツでは、分権化した部門を独立した企業として扱い、それぞれにトップを配して自治権を与えている」「ドイツの大企業の子会社は、アメリカのプロ野球におけるファームの役割を演じている」

またオーケストラの例を挙げています。

「大企業のトップは小企業から引き抜かれてくることになるかもしれない。これは、一流のオーケストラが次の指揮者を手に入れている方法である。若手の指揮者は一流のオーケストラやオペラハウスで修行を積む」

難問への正解はまだ導き出されていない。今後も試行錯誤は続く。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

関連記事