トップの育成【経営のヒント 818】
情報化組織にとってさらに難問となるのが、トップとなるべき人間の育成と選抜である。
『経営の真髄』<下>p.69
ドラッカーは「情報化組織」にシフトしているがゆえのマネジメント上の新しい問題を4つあげました。
- 専門家のためのキャリアと昇進システム
- 共通のビジョンの形成
- タスクフォースのための組織構造
- トップの育成
ドラッカーは難問といいました。なぜか。
情報化組織では、選考対象となるミドルマネジャーが大幅に減少しているからです。つまり選抜対象となる人材の用意が少ないのです。準備の場が激減しているということです。
では対処法はいかに。ドラッカーはドイツ流の分権化を例示しています。
「ドイツでは、分権化した部門を独立した企業として扱い、それぞれにトップを配して自治権を与えている」「ドイツの大企業の子会社は、アメリカのプロ野球におけるファームの役割を演じている」
またオーケストラの例を挙げています。
「大企業のトップは小企業から引き抜かれてくることになるかもしれない。これは、一流のオーケストラが次の指揮者を手に入れている方法である。若手の指揮者は一流のオーケストラやオペラハウスで修行を積む」
難問への正解はまだ導き出されていない。今後も試行錯誤は続く。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)