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目的とミッション【経営のヒント 250】

今回も『マネジメント』第7章「目的とミッション」から「一言」をお伝えします。

<ドラッカーの一言>
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成功は常に、その成功をもたらした行動を陳腐化する。
新しい現実を作り出す。新しい問題を作り出す。
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『マネジメント』p.111 1973年 ダイヤモンド社より

「『われわれの事業は何か』を真剣に問うべきは、むしろ成功しているときである」とドラッカー博士はいいます。このことを理解していない組織は必ず苦境に陥ります。その理由が今日の一言です。すべてのものは古くなるという法則がここでもはたらきます。

新しい現実、課題にいつ対応するかという問題でもあります。我が身に何か大きな影響が出てからというのが一般的なのかもしれません。
それでは遅い、怠慢だとドラッカー博士は言っているのです。しかし成功の落し穴とは、一般に深いものなのです。なぜなら成功の大きさゆえに穴が空いていることに氣づかずに過ごしてしまい、突然大穴に直面することになるからです。そうなってからでは、GMのように手遅れになります。

ドラッカー博士は、このような状況を予防する問いを二つ提示しています。
第一の問いは「「われわれの事業は何になるのか」、第二の問いは「われわれの事業は何であるべきか」です。
二つの問いは、似て非なるものです。

第一の問い、「われわれの事業は何になるのか」について説明します。
この問いは、経営環境の変化が事業にどのような影響を及ぼすかを考えるものです。予測されている変化に、どのように適応していけばいいのかを問うものです。目的は、現在の事業の修正、拡張・発展だといいます。今走っているレールをどうすれば、より良く、より速く、より安く走れるかを考えるための問いです。

これに対して第二の問いは「われわれの事業は何であるべきか」です。
新しい機会を開拓し、新たな価値創造を行うものです。事業をまったく違ったものに変革するためのイノベーションの問いです。今走っているレールから別のレールへ乗り移るための問いです。

この二つの問いは、「われわれの事業は何か」のサブ・クエスチョンです。
いずれにしても、これらの問いを用いて、自らの事業の定義の点検を常にし続けなければなりません。問い続け、実行することのみが事業の継続を保証します。長く事業を継続する重要なポイントです。
この機会に是非、問いを発してみてください。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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