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マネジメントの役割【経営のヒント 237】

今日も『マネジメント―課題、責任、実践―』、第4章「マネジメントの役割」からお伝えします。

<ドラッカーの一言>
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マネジメントは企業家とならなければならない。
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『マネジメント』p.49 1973年 ダイヤモンド社より

マネジメントはすでに存在するものを管理します。
効率よく行うことを考えます。
しかしもう一つ、大切な仕事が加わります。
すでに存在するものを棄て、新たなものを生みだすという仕事です。
今日を棄て、明日を生みだす仕事です。
この仕事をイノベーションといいます。
ドラッカー博士の言葉を借りれば「いかなる成果に向けて資源を投ずれば、異常なほどの成果をもたらすかを考える」ことだといいます。
はたして「異常なほどの成果」とは、どんなものなのでしょうか。
イノベーションは、人が求める新たな価値を提供します。
すでにある価値ではありません。
例えば今、トヨタのプリウスは独走態勢です。
モデルチェンジ一ヶ月で新型プリウスの受注が18万台を超えたとか…。
納車まで7ヶ月待ちとか。まさに「異常なほどの成果」です。
ドラッカー博士は「成果のあがる事業であることが繁栄の前提である。効率はその後の条件である」と続けます。
つまりイノベーションが先、効率がその後に続くということです。
まずプリウスを世に出し、その後にどうやって効率よく作るかを考えるのです。
すべてのものは古くなります。
したがってイノベーションというマネジメントの役割を忘れた企業は、確実に衰退に向かいます。
存続するために「変革」することが求められます。
いつも「変革」が必要なわけではありません。
普段は、いかに効率よく行うか、つまり「改善」を積み上げるかを考えることが重要です。
日頃は「改善」を、いざというときは「改革」というギアを用いるのです。
マネジメントを行う者は、二つのギアを意識して使えることが求められます。
同じように見えてまったく違うギアです。
最後にドラッカー博士の言葉を紹介して終わります。
「効率とは仕事の仕方であり、成果とは仕事の適切さである」。
適切な仕事とは何か。
追い求めなければならない問いです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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