マネジメントへの挑戦【経営のヒント 234】
今日も『マネジメント―課題、責任、実践―』、
第3章は「マネジメントへの挑戦」からお伝えします。先が長いのに足踏みです…。
<ドラッカーの一言>
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マネジメントとは、科学であると同時に人間学である。
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『マネジメント』p.38 1973年 ダイヤモンド社より
マネジメントの科学性とは、客観的な体系が存在することです。
その体系がはじめて世に出たのは1954年『現代の経営』においてです。
そして『マネジメント』は、その総仕上げ版ともいうべきものです。
本書にも掲載されていますが『現代の経営』には、3つの物語が掲載されています。
「シアーズ物語」、「フォード物語」、「IBM物語」です。
これらは大いなる成功事例や大いなる失敗事例です。
ドラッカー博士は、これらの物語をもとに原理と方法を理論としてまとめ、体系化しました。
ドラッカー博士が体系化しなければ、「物語」は、「神話」として語り継がれだけの存在となり、後日学べるものとして私たちは手に出来なかったかもしれません。
少なくとも数十年遅れていたことでしょう。
マネジメントは、どこの国でも、組織形態を選ばず、どの成長過程でも使えるという意味で科学的です。
ちょうど自然科学の法則が世界共通であるように。
一方でマネジメントは、生身の人間が行うものです。
それは、人と人の協働の道具です。
それゆえ道具を使う者の力量の違いで、成果の大きさが異なります。
人間の力量を表す言葉に、器量と度量があります。
器量は、「ある立場においてその仕事をきちんとやってのけるかどうかという観点から見た、人の対処能力」とされ、度量は、「自分への批判も含め他人の言行を受け入れる心の広さ」であると定義されています(三省堂「新明解国語辞典」より)。
器量は科学であるマネジメントに近く、度量は人間学とドラッカー博士が示したものに近いものだと思われます。
知識やスキルは、科学として学ぶことが出来ます。
しかし心の広さ、懐の広さなどは、行動をとおして鍛え磨くことで身につくものです。
失敗を重ね、成果をあげようともがくとき、科学として得られた情報は知識に転換され、さらに磨くことで知恵に昇華します。
このプロセスには困難が伴います。
その困難を行動によって乗り越えていかなければなりません。
折れそうな心を自ら鼓舞する日々もあるかもしれません。
そんなときのためにも日々人間力を高め、一歩一歩マネジメント力を向上させていきたいものです。
佐藤 等