ホーム経営のヒントマネジメント-ブームから成果へ【経営のヒント 229】

経営のヒント

HINT

経営のヒント

マネジメント-ブームから成果へ【経営のヒント 229】

『マネジメント―課題、責任、実践―』の序論は3章で構成されています。
序論のテーマは「マネジメント-ブームから成果へ」です。
このテーマは、実は著書のタイトルにしようかとドラッカー博士が考えていたものでした。
今日はその第1章「マネジメントの登場」から一言です。

<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
今日の先進社会の中心にあるものは、マネジメントである。
その課題であり、責任であり、実践である。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『マネジメント』p.3 1973年 ダイヤモンド社より

企業は現代社会の組織の代表格です。
政府機関、大学、軍隊、教会なども組織ですが、代表的存在はやはり企業です。
なぜなら組織の中でも企業が最大の成功物語だからとドラッカー博士はいいます。
1900年頃から顕著な存在となってきた企業は、二つの世界大戦、恐慌、独裁などの困難をくぐり抜けて財やサービスを提供してきました。国民に高等教育を可能とし、機会の平等を進展させたのも企業の経済活動のお陰だといいます。
その意味で企業には、社会を機能させるという期待とともに「責任」があります。
グローバル経済や環境問題など一国では解決できない問題も基本的な行動単位は企業です。
その意味で「責任」はますます重くなっています。
そしてその企業は、マネジメントに多くを依存しています。
組織がなければマネジメントも必要ありませんが、マネジメントがなければ組織は存在しえないのです。
その意味で社会の中心にマネジメントがあるという今日の一言は実に重みのある言葉です。
経営を預かる者一人ひとりに課された責任を今一度実感しなければなりません。
その意味でドラッカー博士は、著書のサブタイトルに「責任」をあげました。
次にサブタイトルにある「課題」です。
ドラッカー博士は、この著書でマネジメントの体系化の集大成をしました。
しかしハウツーを授ける書にすることを現に戒めました。
どの企業のマネジメントを行う者にも必要な項目を網羅的に述べることに重点を置きました。
新しい課題、新しい領域と新しい問題やわかっているつもりで実は十分わかっていないものなどを網羅し、アプローチの仕方、原理と方法を示すことに努めました。
新しい時代には、新しい課題が追加されます。
その意味でマネジメントの体系は常に変動的です。
私たちは、乱気流に備えて従来の課題ばかりでなく新しい課題にも心して対応していかなければなりません。
最後に「実践」です。
触れるまでもないテーマです。
ドラッカー博士は、まえがきで「マネジメントとは実践である。その本質は知ることではなく、行うことにある。
その評価は、論理ではなく成果によって定まる」と述べています。
成果は実践・行動の先にあります。
そして実践は、マネジメントとして体系化された原理や方法に従うほど勝率が上がります。
成果の大きさが違います。
成果を得るまでの時間が違います。
私たちは基準をもって実践・行動を起しているか、今一度問い直したいものです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

関連記事